嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
「あ……すみません。お疲れのところを引き留めてしまって」
「構いませんよ。数日休暇をもらっていますから、何かあれば部屋まで来ていただければ。いくらでも相談に乗りますので、どうぞご遠慮なく」
マルコと別れ、レミュリオは再び私室へと足を向けた。誰にも呼び止められないようにと、すっと気配を消し去った。
多くの神官の脇を過ぎ、声をかけられることもなく部屋の前にたどり着く。ノブに手をかけた状態で、思い出したように口元に小さく笑みを刻み込んだ。
「先ほども気配を消していたのですがね。憑き物が落ちて、マルコさんの力がより一層研ぎ澄まされたと言ったところでしょうか」
マルコの方がよほど神官としての資質を持っている。大事に育て上げれば、いずれ神官長となれるほどの逸材と言えるだろう。
「さすがに疲れましたね。今夜は早めに休むとしますか」
部屋に入りふっと息をつく。
その瞬間、歪んだ空間にゆらりと誰か輪郭が現れた。目の前に浮かぶその女は、禍々しい紅の揺らめきを纏っている。
「おや? 今、貴女を呼んだ覚えはありませんよ」
物言いたげに紅の女はこちらをじっと見つめてくる。かと思うと、確かめるようにレミュリオの周りをつかず離れず回ってみせた。
「ああ、そう言うことですか」
星に堕ちたこの異形の女は、時が過ぎても未だあの男にご執心のようだ。
「いいでしょう。老いぼれ青龍も混乱を所望している様子です。貴女の希み通り彼の地へ向かうといい」
レミュリオのその言葉に、女の紅い唇がにぃっと弧を描いた。次いでその場から掻き消える。
「こちらも面白いことになってきました」
呟いて、レミュリオはたのしげにひとり笑みを刷いた。
「構いませんよ。数日休暇をもらっていますから、何かあれば部屋まで来ていただければ。いくらでも相談に乗りますので、どうぞご遠慮なく」
マルコと別れ、レミュリオは再び私室へと足を向けた。誰にも呼び止められないようにと、すっと気配を消し去った。
多くの神官の脇を過ぎ、声をかけられることもなく部屋の前にたどり着く。ノブに手をかけた状態で、思い出したように口元に小さく笑みを刻み込んだ。
「先ほども気配を消していたのですがね。憑き物が落ちて、マルコさんの力がより一層研ぎ澄まされたと言ったところでしょうか」
マルコの方がよほど神官としての資質を持っている。大事に育て上げれば、いずれ神官長となれるほどの逸材と言えるだろう。
「さすがに疲れましたね。今夜は早めに休むとしますか」
部屋に入りふっと息をつく。
その瞬間、歪んだ空間にゆらりと誰か輪郭が現れた。目の前に浮かぶその女は、禍々しい紅の揺らめきを纏っている。
「おや? 今、貴女を呼んだ覚えはありませんよ」
物言いたげに紅の女はこちらをじっと見つめてくる。かと思うと、確かめるようにレミュリオの周りをつかず離れず回ってみせた。
「ああ、そう言うことですか」
星に堕ちたこの異形の女は、時が過ぎても未だあの男にご執心のようだ。
「いいでしょう。老いぼれ青龍も混乱を所望している様子です。貴女の希み通り彼の地へ向かうといい」
レミュリオのその言葉に、女の紅い唇がにぃっと弧を描いた。次いでその場から掻き消える。
「こちらも面白いことになってきました」
呟いて、レミュリオはたのしげにひとり笑みを刷いた。