嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
昨年の秋口からフーゲンベルク家に滞在していたルチアは、新年を祝う夜会を終えたあとブルーメ家に帰って行った。
子爵領は雪深い土地なため、冬の間は出るも戻るも苦労すると聞いている。そんな中再びやってくるなど、よほどの理由があるのだろうか。
「ディートリンデ大奥様がぜひ一度会いたいと、ルチア様をご招待されたんですよ。それでまず公爵家にお招きして、わたしどもと一緒にヴォルンアルバに移動することとなりました」
「じゃあルチア様もディートリンデ様の舞踏会に出られるのね」
微笑みかけたリーゼロッテの脳裏に、ルチアの泣き顔が過った。あれは新年を祝う夜会での出来事だ。ルチアへのカイの不実な態度が思い出されて、腹の奥に重いもやもやが湧き上がる。
「リーゼロッテ様? どうかなさいましたか?」
「いいえ、なんでもないの」
あのあと会話を交わすこともなく、ルチアはブルーメ家に帰ってしまった。
(ルチア様、まだ落ち込んでいるかしら……)
会ったとき、なんと言葉をかければいいのだろうか。
気の利いた台詞のひとつも思い浮かばなくて、リーゼロッテは知らず小さなため息をついた。
子爵領は雪深い土地なため、冬の間は出るも戻るも苦労すると聞いている。そんな中再びやってくるなど、よほどの理由があるのだろうか。
「ディートリンデ大奥様がぜひ一度会いたいと、ルチア様をご招待されたんですよ。それでまず公爵家にお招きして、わたしどもと一緒にヴォルンアルバに移動することとなりました」
「じゃあルチア様もディートリンデ様の舞踏会に出られるのね」
微笑みかけたリーゼロッテの脳裏に、ルチアの泣き顔が過った。あれは新年を祝う夜会での出来事だ。ルチアへのカイの不実な態度が思い出されて、腹の奥に重いもやもやが湧き上がる。
「リーゼロッテ様? どうかなさいましたか?」
「いいえ、なんでもないの」
あのあと会話を交わすこともなく、ルチアはブルーメ家に帰ってしまった。
(ルチア様、まだ落ち込んでいるかしら……)
会ったとき、なんと言葉をかければいいのだろうか。
気の利いた台詞のひとつも思い浮かばなくて、リーゼロッテは知らず小さなため息をついた。