嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
「確かにマテアスと同じ青い目よ。そう言えば、浄化の力は瞳の色に宿るって話だったわね」
「えぇっ!? エラさんはマテアスさんの目を目視したことあるんですかぁ?」
「それはもちろん」
「ほえぇ、さすがはご夫婦ですねぇ」
「え? そんなもの、結婚する前から何度も見てたけど……?」

 あの隙のない糸目をこじ開けられるとは。
 どんな手を使ったのだろうかと、ちょっと興味が湧いて来る。

「一体どうやって確認をぉ?」
「どうって……マテアスが自分で目を(ひら)けば、誰にだって見えるでしょう?」
「自分で目を開けばぁ?」

 ベッティがあんぐりと口を開けると、何かを思い出すようにエラは首をひねった。

「以前リーゼロッテ奥様もそんなことをおっしゃってたわね。一度マテアスのまぶたを押し開いてみたいって……」
「ですよねぇ、激しく同意ですぅ! あ、コレ、マテアスさんにはご内密にぃ」

 敵に回すと厄介な人物だ。マテアスの青い目を見たが最後、その日が自分の命日になっては敵わない。

「それにしても、この子に浄化の力があってよかった……」

 ぽつりとつぶやいたエラに、ベッティは不思議そうな顔をした。それを察したエラが、自嘲気味な笑みを向けてくる。

「ほら、わたしって“無知なる者”でしょう? 異形の姿も見えないし祓う力もないから、この子がそうならなくてよかったなって」
「あぁそんなことぉ」
「そんなことって。異形に対してなんの役にも立てないのよ? それじゃこの先困るじゃない」

 エラにしては珍しくむっとした顔を返された。リーゼロッテが絡んだ途端、目の色が変わるのは相変わらずのようだ。

「エリアスが大きくなったら、リーゼロッテ奥様やこれからお生まれになる御子の役に立てるのかと思うと、わたしも今から誇らしいわ」
「エラさんだって立派にお役に立ってますよぅ。無知なる者ってぇ、そもそも異形自体を寄せ付けないんですからぁ」

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