嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
「リーゼロッテ様。あの方のことは……わたくし、もう大丈夫です」
「ルチア様……」
カイといるために、ルチアは貴族でいることを心に決めた。リーゼロッテに向けた淑女の笑みは、彼女に引けを取らないほど完璧なまでに貴族としての仮面だった。
「そう……分かったわ」
それだけ言ってリーゼロッテはふわりと笑った。少しほっとした表情で、ルチアの言葉通りに受け取ったのが見て取れる。
「リーゼロッテ」
「もう、ヴァルト様! ルチア様と大事なお話をしておりましたのに」
細い腰を引き寄せられて、リーゼロッテが頬をふくらませた。
「そろそろダンスが始まる。踊りたいんだろう?」
「それはそうですが……」
「こちらのことはお気遣いなく。ブルーメ嬢はわたしが責任をもってエスコートさせていただきます」
「ああ、エーミール、よろしく頼む」
仲睦まじくダンスフロアに向かう背を見送って、自然体で愛されるリーゼロッテに再び胸の奥がざわついた。
しかしルチアはそれに気づかない振りをする。自分はカイの訪れをおとなしく待つと決めたのだ。
「ブルーメ嬢、せっかくの舞踏会だ。わたしと一曲踊ってもらっても?」
「はい、よろこんで」
差し出された手を取って、エーミールとフロアへ向かう。その途中、年配の夫人と連れ添うカイのすぐ脇を通り過ぎた。
カイのことだ。ルチアがいることなど当に気づいているだろう。夫人と親しげに会話するカイは、それでもこちらをちらりとも見ようとして来ない。
(そうよ。わたしたちはこれでいいんだわ)
「ルチア様……」
カイといるために、ルチアは貴族でいることを心に決めた。リーゼロッテに向けた淑女の笑みは、彼女に引けを取らないほど完璧なまでに貴族としての仮面だった。
「そう……分かったわ」
それだけ言ってリーゼロッテはふわりと笑った。少しほっとした表情で、ルチアの言葉通りに受け取ったのが見て取れる。
「リーゼロッテ」
「もう、ヴァルト様! ルチア様と大事なお話をしておりましたのに」
細い腰を引き寄せられて、リーゼロッテが頬をふくらませた。
「そろそろダンスが始まる。踊りたいんだろう?」
「それはそうですが……」
「こちらのことはお気遣いなく。ブルーメ嬢はわたしが責任をもってエスコートさせていただきます」
「ああ、エーミール、よろしく頼む」
仲睦まじくダンスフロアに向かう背を見送って、自然体で愛されるリーゼロッテに再び胸の奥がざわついた。
しかしルチアはそれに気づかない振りをする。自分はカイの訪れをおとなしく待つと決めたのだ。
「ブルーメ嬢、せっかくの舞踏会だ。わたしと一曲踊ってもらっても?」
「はい、よろこんで」
差し出された手を取って、エーミールとフロアへ向かう。その途中、年配の夫人と連れ添うカイのすぐ脇を通り過ぎた。
カイのことだ。ルチアがいることなど当に気づいているだろう。夫人と親しげに会話するカイは、それでもこちらをちらりとも見ようとして来ない。
(そうよ。わたしたちはこれでいいんだわ)