嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
     ◇
「今日は最愛の妻、ディートリンデのために集まってくれたこと、感謝する! 飲んで踊って、存分に楽しんでいってくれ!」

 ジークフリートのよく通る声に、広間がさらに活気づく。
 身内で集まる舞踏会だけあって、すでになんとなく始まっていて、相当出来上がっている者もいた。

(みんな泊りがけで来てるから、きっと羽目を外しやすいのね……)

 とは言えリーゼロッテはジークヴァルトから禁酒令を言い渡されている。ひとダンス終えて喉を潤したいと思っていたら、目の前にすっと果実水のグラスが差し出された。

「酒は駄目だぞ」

 ほろ酔いで談笑する姿を眺めていたからだろうか。ジークヴァルトがくぎを刺すように言ってきた。

「心得ておりますわ」

 アルコールが入ると、どうも自分は周囲に迷惑をかけまくるらしい。
 どんな粗相を働いているのか、誰に尋ねても答えてくれない。酔いが回ると記憶を失ってしまうので、真実は未だ闇の中だ。

「そう言えばヴァルト様、約束してくださいましたわよね? わたくしが酔ったときにどんな言動をするのか、婚姻を果たしたあとにきちんと教えてくださるって」

 それにジークヴァルトとふたりきりのときなら、酒を飲んでもいいと言われた気がする。
 期待と不安が入り混じった瞳で見上げたら、無言ですいと顔を逸らされてしまった。

(な、なんで顔を逸らすのっ。やっぱりとんでもない酒乱女になってるんじゃ……)

 絶望の顔で固まっていると、しばし考え込んでいたジークヴァルトが耳元に口を寄せてきた。
 リーゼロッテも聞きやすいようにと、反射的に差し出すように頭を傾ける。

「あれだ」
「あれ?」
「ああ、いつだか媚薬を飲んだだろう?」
「び、びやくっ!?」

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