嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
 そうなってしまったのも、これまでリーゼロッテが不用意に襲われたりダイブしたり攫われたりしてきたからだ。
 振り向くと、ジークヴァルトは黙って送り出していた。

(見守ってくれてるみたいし、少しくらいはいいってことかしら?)

 無限ダンス解禁だ。こうなれば楽しく踊り倒そうと、リーゼロッテは曲の切れ目でアデライーデとともに輪に加わった。
 見よう見まねでステップを踏む。貴族人生もそれなりに長くなってきたので、根が生粋の庶民のリーゼロッテでも簡単に踊ることができた。

「楽しい? リーゼロッテ」
「はい、お姉様! 連れ出してくださってありがとうございます」
「時には適度にはめを外すのも大事なのよ?」

 ジークヴァルトが聞いたら眉間のしわが深まりそうだ。
 それでも満面の笑みで頷き返して、隣のパートナーと手を取り合った。

「姉上と踊るのは随分と久振りですね!」
「そうね。ふふ、ルカも随分と背が高くなったわね」

 ダーミッシュ家の屋敷でのダンスの練習相手は、もっぱら義父のフーゴかルカだった。
 それが今ではジークヴァルト意外と踊ることは滅多にない。

「ねぇルカ、あまり束縛し過ぎるとツェツィーリアに嫌わてしまうわよ?」
「大丈夫です、姉上。そこら辺のさじ加減は心得ていますので」

 きりっとした顔でルカは即答した。そこに一切の迷いはない。

(そう言えばルカってば、絶対に逃がさないマンだったわ……)

 昔から欲しいものはなんとしてでも手にしてきた弟だ。
 ツェツィーリアの行く末に、ちょっぴり同情してしまったリーゼロッテだった。

「これはリーゼロッテ様」
「カイ様……」

 次のパートナーはカイだった。
 思わず顔から笑顔が消えそうになる。

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