嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
 カイだけを見て、カイだけにこだわり、カイだけに執着する。そうなるようにずっとルチアを仕向けてきた。
 ルチアは青龍がカイのために用意した、カイが唯一好きにしてもいい、カイだけのおもちゃのような存在だ。それがこんなつまらないペンダントに、奪われてしまってはかなわない。

 しかしこれがカイの手中にあれば、ルチアはずっとカイを想うはずだ。ペンダントではなく次のカイの訪れを、胸を焦がしていつまでもいつまでも待ち続けることだろう。

(はは、ろくでもないな)

 我がことながら、カイは自嘲の笑みを口元に漏らした。こんな自分に執着されるルチアが、少々可哀そうに思えてくる。
 それでもカイは最期までルチアを手放す気はさらさらなかった。ルチアの心はずっとカイで満たされていなければ。
 そうでなければ気がすまない。それこそ、自分が死した後ですら――。

 懐にペンダントをしまい込む。
 上機嫌で、カイは再び廊下を歩きだした。

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