嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
◇
ツェツィーリアとともに淑女用の休憩室を出ると、入り口のすぐそばでルカがひとり佇んでいた。
「まぁ、ルカ。こんな場所で待っているだなんて」
あからさまな出待ちはマナー違反だ。例えて言うならば、女性用トイレの真ん前で彼女が出てくるのを睨みを利かせて待っている感覚だろうか?
「ですがツェツィーリア様のおそばを離れたくはありません」
「もう、ルカったら心配性ね」
あのジークヴァルトにでさえ、さすがにご遠慮願っているのだ。まだ子供だからいいものを、このまま大人になってはツェツィーリアが苦労するのは目に見えている。
「とにかく行きましょう」
ほかの貴族の目もあることだ。ふたりを連れてリーゼロッテは、ジークヴァルトが待つ広間へと歩を進めていった。
(何かしら……?)
途中、遠くから怒号が聞こえてくる。
何を言っているかまでは分からないが、かなり混乱しているような怒鳴り声だ。
「ルカ、ツェツィーリアも。早くこちらへ」
いやな予感がして、リーゼロッテは近くの空いた休憩室にふたりを誘った。
鍵を閉め、廊下に聞き耳を立てる。
「姉上……」
「しっ。物音を立てては駄目よ?」
不安げなルカを制して、ツェツィーリアとともに奥に下がっているよう促した。
その間にも騒ぎは近づいて来ているようだ。誰かの切迫した叫び声が、やがてリーゼロッテの耳にも捉えられた。
「……きしゅう! てきしゅう!」
繰り返されるその言葉が、敵襲であると理解する。
ここヴォルンアルバは国境を守るための要塞都市だ。知識としては持ち合わせていたものの、実際に身に降りかかる火の粉となるなど、思ってもみないことだった。
ツェツィーリアとともに淑女用の休憩室を出ると、入り口のすぐそばでルカがひとり佇んでいた。
「まぁ、ルカ。こんな場所で待っているだなんて」
あからさまな出待ちはマナー違反だ。例えて言うならば、女性用トイレの真ん前で彼女が出てくるのを睨みを利かせて待っている感覚だろうか?
「ですがツェツィーリア様のおそばを離れたくはありません」
「もう、ルカったら心配性ね」
あのジークヴァルトにでさえ、さすがにご遠慮願っているのだ。まだ子供だからいいものを、このまま大人になってはツェツィーリアが苦労するのは目に見えている。
「とにかく行きましょう」
ほかの貴族の目もあることだ。ふたりを連れてリーゼロッテは、ジークヴァルトが待つ広間へと歩を進めていった。
(何かしら……?)
途中、遠くから怒号が聞こえてくる。
何を言っているかまでは分からないが、かなり混乱しているような怒鳴り声だ。
「ルカ、ツェツィーリアも。早くこちらへ」
いやな予感がして、リーゼロッテは近くの空いた休憩室にふたりを誘った。
鍵を閉め、廊下に聞き耳を立てる。
「姉上……」
「しっ。物音を立てては駄目よ?」
不安げなルカを制して、ツェツィーリアとともに奥に下がっているよう促した。
その間にも騒ぎは近づいて来ているようだ。誰かの切迫した叫び声が、やがてリーゼロッテの耳にも捉えられた。
「……きしゅう! てきしゅう!」
繰り返されるその言葉が、敵襲であると理解する。
ここヴォルンアルバは国境を守るための要塞都市だ。知識としては持ち合わせていたものの、実際に身に降りかかる火の粉となるなど、思ってもみないことだった。