嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
扉の前を複数人の足音が慌ただしく通り過ぎる。
敵なのか味方なのか、判断がつかないままリーゼロッテは息を押し殺した。
「リーゼロッテ? そこにいて?」
「アデライーデお姉様!」
叩かれた扉を急いで開く。そこにいたアデライーデはこれまで見たこともない険しい表情だ。
本当に非常事態なのだと、否が応でもリーゼロッテは感じ取った。
「お姉様、一体何が……?」
「賊が侵入したわ。今確認中だけど、恐らくオーランウヴスの侵攻ね」
言葉にされると、余計に血の気が引いた。だが信じたくないなどと言っている場合ではない。
震えを押さえるために、リーゼロッテは自分の手を包むようにぎゅっと握りしめた。
「ジークヴァルトはどこ?」
「広間にいらっしゃいます。わたくしはツェツィーリアとルカと休憩でこちらの方に……」
「分かったわ。すぐにここに来るよう伝えるから、あなたたちは鍵をかけて絶対に外に出ないこと。いいわね?」
ずっとここにいてほしいが、アデライーデは騎士としてやるべきことがあるのだろう。
頷いてリーゼロッテは部屋の鍵を再び閉めた。
「姉上……ツェツィー様と姉上は必ずわたしが守ります」
「ありがとう、ルカ。でもすぐにジークヴァルト様が来てくださるわ。大丈夫よ。心配しないで」
広間は目と鼻の先だ。不安げに身を寄せ合うふたりにリーゼロッテは微笑んだ。
帯剣していると言ってもルカはまだ子供だ。ジークヴァルトが来るまでは、やはりリーゼロッテがふたりのことを守らねば。
そのときリーゼロッテの肌という肌が粟立った。いきなり走った戦慄に、思わず扉を振り返る。
部屋の向こうで邪気に満ちた瘴気が溢れ出るのを感じ取った。それは急速に広がりを見せ、砦全体を覆いつくす勢いに思えた。
「リーゼロッテお姉様……この気配はなに……?」
真っ青になったツェツィーリアが唇を小刻みに震わせている。
浄化の力は持たないが、ツェツィーリアは異形の気配には人一倍敏感な体質だ。恐らくリーゼロッテ以上に正確に状況を把握しているに違いない。
「どんどんこの部屋の前に集まってきてる」
「ツェツィー様……?」
敵なのか味方なのか、判断がつかないままリーゼロッテは息を押し殺した。
「リーゼロッテ? そこにいて?」
「アデライーデお姉様!」
叩かれた扉を急いで開く。そこにいたアデライーデはこれまで見たこともない険しい表情だ。
本当に非常事態なのだと、否が応でもリーゼロッテは感じ取った。
「お姉様、一体何が……?」
「賊が侵入したわ。今確認中だけど、恐らくオーランウヴスの侵攻ね」
言葉にされると、余計に血の気が引いた。だが信じたくないなどと言っている場合ではない。
震えを押さえるために、リーゼロッテは自分の手を包むようにぎゅっと握りしめた。
「ジークヴァルトはどこ?」
「広間にいらっしゃいます。わたくしはツェツィーリアとルカと休憩でこちらの方に……」
「分かったわ。すぐにここに来るよう伝えるから、あなたたちは鍵をかけて絶対に外に出ないこと。いいわね?」
ずっとここにいてほしいが、アデライーデは騎士としてやるべきことがあるのだろう。
頷いてリーゼロッテは部屋の鍵を再び閉めた。
「姉上……ツェツィー様と姉上は必ずわたしが守ります」
「ありがとう、ルカ。でもすぐにジークヴァルト様が来てくださるわ。大丈夫よ。心配しないで」
広間は目と鼻の先だ。不安げに身を寄せ合うふたりにリーゼロッテは微笑んだ。
帯剣していると言ってもルカはまだ子供だ。ジークヴァルトが来るまでは、やはりリーゼロッテがふたりのことを守らねば。
そのときリーゼロッテの肌という肌が粟立った。いきなり走った戦慄に、思わず扉を振り返る。
部屋の向こうで邪気に満ちた瘴気が溢れ出るのを感じ取った。それは急速に広がりを見せ、砦全体を覆いつくす勢いに思えた。
「リーゼロッテお姉様……この気配はなに……?」
真っ青になったツェツィーリアが唇を小刻みに震わせている。
浄化の力は持たないが、ツェツィーリアは異形の気配には人一倍敏感な体質だ。恐らくリーゼロッテ以上に正確に状況を把握しているに違いない。
「どんどんこの部屋の前に集まってきてる」
「ツェツィー様……?」