嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
自分の守護者の力なら、砦一帯を浄化することだってなんなくできてしまうはずだ。それなのに焦れば焦るほどうまくいかない。
首に下げていた豪奢なネックレスを、たまらずリーゼロッテはドアノブにかけた。ジークヴァルトの守り石が並ぶ装飾が輝いて、途端に異形の者を扉の前から弾き飛ばした。
「きゃあ、リーゼロッテお姉様っ!」
はっとなって振り返る。
すり抜けていたどす黒い異形の影が、ツェツィーリアに向かって真っすぐに襲い掛かった。
「ツェツィーリア!」
「いやぁっ」
この距離では間に合わない。凍りつく心を現すかのように、リーゼロッテは一歩もそこから動けなかった。
「ツェツィー様……!」
手前にいたルカが、腰に下げた長剣を素早く抜いた。鋭利に光る刃が迷いない軌道で一閃される。その動きは迫りくる異形を真っ二つに切り裂き、歪んだ黒い塊が左右に分かたれた。
分離した二体の異形は、尚もツェツィーリアに回り込もうとしてくる。その位置に合わせて、ルカの剣が斜めに縦にと、無駄のない動きで異形を薙ぎ払った。見惚れるほどの華麗な剣舞によって、今度こそ異形の者は影も形もなく霧散した。
何事もなかったかのように長剣を鞘に納めたルカに、リーゼロッテは驚愕の視線を向けた。ルカは無知なる者だ。本来なら異形を視ることは叶わない。
「ルカ……あなた、異形の者の姿が視えているの……?」
「いいえ、わたしには何も」
「え、でも、だって」
そんな馬鹿なと、ツェツィーリアと目を見合わせる。先ほどのルカの攻撃は、視えていないと言うにはあまりにも的確すぎた。
未だ震えているツェツィーリアの手を取ると、ルカは天使の笑顔を向けた。
「でもやはり異形の者が迫っていたのですね。ツェツィー様を守れて本当によかった。この退魔の剣を授けてくださったレルナー公爵様に、心より感謝しなくては」
「だ、だけど視えないのに一体どうやったというの……?」
「それは……」
ルカがしばし考え込む。固唾を飲んで次の言葉を待っていると、ルカはキリっとした顔で言い切った。
首に下げていた豪奢なネックレスを、たまらずリーゼロッテはドアノブにかけた。ジークヴァルトの守り石が並ぶ装飾が輝いて、途端に異形の者を扉の前から弾き飛ばした。
「きゃあ、リーゼロッテお姉様っ!」
はっとなって振り返る。
すり抜けていたどす黒い異形の影が、ツェツィーリアに向かって真っすぐに襲い掛かった。
「ツェツィーリア!」
「いやぁっ」
この距離では間に合わない。凍りつく心を現すかのように、リーゼロッテは一歩もそこから動けなかった。
「ツェツィー様……!」
手前にいたルカが、腰に下げた長剣を素早く抜いた。鋭利に光る刃が迷いない軌道で一閃される。その動きは迫りくる異形を真っ二つに切り裂き、歪んだ黒い塊が左右に分かたれた。
分離した二体の異形は、尚もツェツィーリアに回り込もうとしてくる。その位置に合わせて、ルカの剣が斜めに縦にと、無駄のない動きで異形を薙ぎ払った。見惚れるほどの華麗な剣舞によって、今度こそ異形の者は影も形もなく霧散した。
何事もなかったかのように長剣を鞘に納めたルカに、リーゼロッテは驚愕の視線を向けた。ルカは無知なる者だ。本来なら異形を視ることは叶わない。
「ルカ……あなた、異形の者の姿が視えているの……?」
「いいえ、わたしには何も」
「え、でも、だって」
そんな馬鹿なと、ツェツィーリアと目を見合わせる。先ほどのルカの攻撃は、視えていないと言うにはあまりにも的確すぎた。
未だ震えているツェツィーリアの手を取ると、ルカは天使の笑顔を向けた。
「でもやはり異形の者が迫っていたのですね。ツェツィー様を守れて本当によかった。この退魔の剣を授けてくださったレルナー公爵様に、心より感謝しなくては」
「だ、だけど視えないのに一体どうやったというの……?」
「それは……」
ルカがしばし考え込む。固唾を飲んで次の言葉を待っていると、ルカはキリっとした顔で言い切った。