嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
「なんとなく、です!」
「な、なんとなく!?」
「はい。わたしはなんとなくいやな気配がするなというところに向かって、なんとなく剣を振るってみただけなので」
視えないのに、なんとなく切れてしまうものなのだろうか。異形を断てる退魔の剣もすごいのだろうが、ルカの能力はあまりにも規格外だ。
(そう言えばダーミッシュのお屋敷で、ルカはいつも無意識に異形の者を踏んづけたり追い払ってくれたりしてたっけ……)
ルカに手を引かれて歩いていた令嬢時代を思い出し、リーゼロッテは状況も忘れふふと笑みを漏らした。
しかしそれも束の間、ドアノブに下げたネックレスが細かく振動している。その時、いちばん小さな守り石のひとつが、ぱきんと割れて砂のようにさらさらと床に零れ落ちた。
そのほかの守り石も、美しくたゆとう青がゆっくりと順にくすんでいっている。これでは再び扉が破られるのも時間の問題だ。
(このままじゃふたりの身が危険だわ)
これまで起きてきた異形がらみの騒ぎを鑑みると、異形の目的はリーゼロッテの力だろう。
隣国の敵襲と関係があるのか、たまたま重なったのか。判断はつかないが、ただジークヴァルトを待っているのは非常に危険に思えた。
どんどんくすみ行く守り石を横目で見やりながら、リーゼロッテは覚悟を決めた。
「ツェツィーリア、これを」
普段つけている守り石のペンダントを取り出すと、ツェツィーリアの首に下げた。次に涙入りの小瓶を手に握らせる。
「このペンダントをつけていれば、異形は近寄ってこれなくなるわ。万が一異形が迫ってきたら、焦らずにこの液体を振りかけるのよ。そうすれば浄化ができるから」
「でもこのペンダントは……」
「心配しないで。ジークヴァルト様の守り石は、このドレスにも山ほど縫い付けられてるの」
「な、なんとなく!?」
「はい。わたしはなんとなくいやな気配がするなというところに向かって、なんとなく剣を振るってみただけなので」
視えないのに、なんとなく切れてしまうものなのだろうか。異形を断てる退魔の剣もすごいのだろうが、ルカの能力はあまりにも規格外だ。
(そう言えばダーミッシュのお屋敷で、ルカはいつも無意識に異形の者を踏んづけたり追い払ってくれたりしてたっけ……)
ルカに手を引かれて歩いていた令嬢時代を思い出し、リーゼロッテは状況も忘れふふと笑みを漏らした。
しかしそれも束の間、ドアノブに下げたネックレスが細かく振動している。その時、いちばん小さな守り石のひとつが、ぱきんと割れて砂のようにさらさらと床に零れ落ちた。
そのほかの守り石も、美しくたゆとう青がゆっくりと順にくすんでいっている。これでは再び扉が破られるのも時間の問題だ。
(このままじゃふたりの身が危険だわ)
これまで起きてきた異形がらみの騒ぎを鑑みると、異形の目的はリーゼロッテの力だろう。
隣国の敵襲と関係があるのか、たまたま重なったのか。判断はつかないが、ただジークヴァルトを待っているのは非常に危険に思えた。
どんどんくすみ行く守り石を横目で見やりながら、リーゼロッテは覚悟を決めた。
「ツェツィーリア、これを」
普段つけている守り石のペンダントを取り出すと、ツェツィーリアの首に下げた。次に涙入りの小瓶を手に握らせる。
「このペンダントをつけていれば、異形は近寄ってこれなくなるわ。万が一異形が迫ってきたら、焦らずにこの液体を振りかけるのよ。そうすれば浄化ができるから」
「でもこのペンダントは……」
「心配しないで。ジークヴァルト様の守り石は、このドレスにも山ほど縫い付けられてるの」