嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
     ◇
 いきなり部屋から飛び出した小鬼を追いかけて、ルチアは武骨な石造りの廊下を息を切らし駆けていた。
 奇声を上げながら、小鬼は何かに怯えるように闇雲に走り回っている。

「もう、一体どうしちゃったって言うのよ!」

 早くしないとベッティが戻ってきてしまう。ちゃんと休憩室で待っていると約束した手前、間に合わなかったらカイに何か報告されてしまうかもしれない。
 しかし何もせず放っておくには、小鬼の錯乱ぶりがひど過ぎた。尋常ではないその様子に見捨てることもできないルチアだった。
 そうこうしているうちに小鬼を見失う。慌てて進んだ先に見知った者の姿を見つけた。

「あっ、リーゼロッテ様!」

 駆け寄ると、リーゼロッテの影から小鬼が跳ねて腕に飛び込んできた。

「よかった、こんなところにいたのね」
「ルチア様、ここは危険なの。早くあちらへ」

 性急にリーゼロッテが腕を掴み取ってくる。らしからぬ乱暴な手つきに、ルチアは思わず眉根を寄せた。

「リーゼロッテ様? 一体何が」
「詳しくあとで。まずは安全な場所へいきましょう」

 強引に引っ張られるも、何か熱を感じた気がしてルチアはなんとなく後ろを振り返った。
 遠くが赤く輝いている。眩しくて奥が見通せないほどだ。

「あれは何ですか……?」

 その輝きはどんどんと増していくようだった。

「あそこら辺、真っ赤だわ……」

 炎が踊るかように、中心部が激しく揺らめいている。あまりの美しさにルチアは釘付けとなった。

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