嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
◇
「ルチア様! その女に同調しては駄目――……!」
紅の女の力に魅入られたかのように、ルチアが心のすべてを明け渡そうとしている。そこを引きはがすため、リーゼロッテはルチアの盾となり女の力を押し返そうとした。
清廉な緑の輝きと毒々しい紅がせめぎ合う。流れ出る溶岩さながらに、女の力が重く執拗に絡みついてきた。
持久力を試されて、徐々にリーゼロッテの緑が浸食を許していく。かざす手のひらが悲鳴を上げ、そのあまりの熱量にリーゼロッテの額に玉の汗が浮かび上がった。
余裕の表情のまま、紅の女は尚もルチアに照準を合わせようとする。させるものかと、渾身の力でリーゼロッテは浄化の緑を流し続けた。
「ふっ、くぅっ」
歯を食いしばるも、限界はすぐそこにまで来ている。自分の力量のなさを悔やんでも、何の足しにもなりはしなかった。
「ああ……っ!」
緑の防壁が決壊し、崩れ去るそのときを感じ取る。だがその一瞬手前で、リーゼロッテの負担が嘘のように軽くなった。
目の前で緑のカーテンが揺らめいている。リーゼロッテを守るように。そして、諦めるなと励ますように。
「マルグリット母様……」
これはジークヴァルトが膜と呼んでいた、実母がくれた贈り物だ。この力には幾度となく助けられてきた。あたたかな波動に包まれて、リーゼロッテは再び気力を取り戻した。
マルグリットの力の上に自身のそれを重ね合わせる。ふたつの緑は溶け合って、よりいっそう強い輝きを放った。
「ふああっ、リーゼロッテ様ぁ!?」
駆け込んできたベッティがまだ遠い場所で急ブレーキをかけた。来たのはいいが、この惨状に驚いている様子だ。
「ぁあぅあうあぅぁ」
リーゼロッテを助けたいがどうにもならない。紅の邪気に近づくこともままならず、オロオロしているベッティに向かってリーゼロッテは余裕なく声を張り上げた。
「ルチア様! その女に同調しては駄目――……!」
紅の女の力に魅入られたかのように、ルチアが心のすべてを明け渡そうとしている。そこを引きはがすため、リーゼロッテはルチアの盾となり女の力を押し返そうとした。
清廉な緑の輝きと毒々しい紅がせめぎ合う。流れ出る溶岩さながらに、女の力が重く執拗に絡みついてきた。
持久力を試されて、徐々にリーゼロッテの緑が浸食を許していく。かざす手のひらが悲鳴を上げ、そのあまりの熱量にリーゼロッテの額に玉の汗が浮かび上がった。
余裕の表情のまま、紅の女は尚もルチアに照準を合わせようとする。させるものかと、渾身の力でリーゼロッテは浄化の緑を流し続けた。
「ふっ、くぅっ」
歯を食いしばるも、限界はすぐそこにまで来ている。自分の力量のなさを悔やんでも、何の足しにもなりはしなかった。
「ああ……っ!」
緑の防壁が決壊し、崩れ去るそのときを感じ取る。だがその一瞬手前で、リーゼロッテの負担が嘘のように軽くなった。
目の前で緑のカーテンが揺らめいている。リーゼロッテを守るように。そして、諦めるなと励ますように。
「マルグリット母様……」
これはジークヴァルトが膜と呼んでいた、実母がくれた贈り物だ。この力には幾度となく助けられてきた。あたたかな波動に包まれて、リーゼロッテは再び気力を取り戻した。
マルグリットの力の上に自身のそれを重ね合わせる。ふたつの緑は溶け合って、よりいっそう強い輝きを放った。
「ふああっ、リーゼロッテ様ぁ!?」
駆け込んできたベッティがまだ遠い場所で急ブレーキをかけた。来たのはいいが、この惨状に驚いている様子だ。
「ぁあぅあうあぅぁ」
リーゼロッテを助けたいがどうにもならない。紅の邪気に近づくこともままならず、オロオロしているベッティに向かってリーゼロッテは余裕なく声を張り上げた。