嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
「――……!」
完全に不意をつかれ初動が遅れる。そんなジークヴァルトに向けて、女の唇がにぃっと笑みを刷いた。
至近距離から容赦なく濃密な瘴気を叩き込まれる。吹き飛ばされた体が強く壁に打ちつけられた。
「ヴァルト様!? 今瘴気を晴らしますわ!」
遠くでスプレーが吹かれる音がする。次いで清廉な緑の気が広がった。
薄らいでいく紅の中、朧げに女の動きを察知した。寸でのところで二撃目を回避する。
転がるように逃げた先で、待ち構えたかまいたちが再びジークヴァルトに激しく襲い掛かった。
「くぅっ!」
「ジークヴァルト様!」
庇いきれず頬に走った裂傷に、一瞬遅れて血しぶきが舞う。
態勢を整えることもままならず、無防備なジークヴァルトに再度かまいたちが放たれた。
「だめぇっ」
走り寄るリーゼロッテの手から小瓶の液体が振り撒かれた。涙に触れたかまいたちが、じゅうと水蒸気のごとく霧散する。
尚も女はジークヴァルトに向けて手をかざす。片膝をついたジークヴァルトは未だ立ち上がれないでいた。
半泣きになったリーゼロッテが闇雲に小瓶の中身をぶちまけた。次々かまいたちが消し飛ぶも、女はおかまいなしにジークヴァルトに向けて連撃を繰り返してくる。
やがて尽きた涙にリーゼロッテは青ざめた。女の唇が妖艶に弧を描き、間を置かず無慈悲な斬撃が放たれる。
「ヴァルト様……!」
深い傷がいくつも走ったジークヴァルトの前に、両手を広げたリーゼロッテが女に立ちはだかった。
その瞬間、女の姿が掻き消える。
「きゃあぁっ」
「リーゼロッテ!」
手の届かない先で女がリーゼロッテを抱き込んでいる。ふたり重なり合った状態でリーゼロッテはその場に崩れ落ちた。
うずくまったリーゼロッテが胸元を押さえている。駆け寄ろうとしたジークヴァルトは半ばで足を止めた。あまりの違和感に息を飲む。
「く……くくくくくっ」
苦しげに俯いたリーゼロッテから不自然な笑いが漏れて出た。
かと思うと、何事もなかったようにすっとその場を立ち上がる。
完全に不意をつかれ初動が遅れる。そんなジークヴァルトに向けて、女の唇がにぃっと笑みを刷いた。
至近距離から容赦なく濃密な瘴気を叩き込まれる。吹き飛ばされた体が強く壁に打ちつけられた。
「ヴァルト様!? 今瘴気を晴らしますわ!」
遠くでスプレーが吹かれる音がする。次いで清廉な緑の気が広がった。
薄らいでいく紅の中、朧げに女の動きを察知した。寸でのところで二撃目を回避する。
転がるように逃げた先で、待ち構えたかまいたちが再びジークヴァルトに激しく襲い掛かった。
「くぅっ!」
「ジークヴァルト様!」
庇いきれず頬に走った裂傷に、一瞬遅れて血しぶきが舞う。
態勢を整えることもままならず、無防備なジークヴァルトに再度かまいたちが放たれた。
「だめぇっ」
走り寄るリーゼロッテの手から小瓶の液体が振り撒かれた。涙に触れたかまいたちが、じゅうと水蒸気のごとく霧散する。
尚も女はジークヴァルトに向けて手をかざす。片膝をついたジークヴァルトは未だ立ち上がれないでいた。
半泣きになったリーゼロッテが闇雲に小瓶の中身をぶちまけた。次々かまいたちが消し飛ぶも、女はおかまいなしにジークヴァルトに向けて連撃を繰り返してくる。
やがて尽きた涙にリーゼロッテは青ざめた。女の唇が妖艶に弧を描き、間を置かず無慈悲な斬撃が放たれる。
「ヴァルト様……!」
深い傷がいくつも走ったジークヴァルトの前に、両手を広げたリーゼロッテが女に立ちはだかった。
その瞬間、女の姿が掻き消える。
「きゃあぁっ」
「リーゼロッテ!」
手の届かない先で女がリーゼロッテを抱き込んでいる。ふたり重なり合った状態でリーゼロッテはその場に崩れ落ちた。
うずくまったリーゼロッテが胸元を押さえている。駆け寄ろうとしたジークヴァルトは半ばで足を止めた。あまりの違和感に息を飲む。
「く……くくくくくっ」
苦しげに俯いたリーゼロッテから不自然な笑いが漏れて出た。
かと思うと、何事もなかったようにすっとその場を立ち上がる。