嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
反響を繰り返し、耳を澄ませても出所はつかめなかった。灰色だけの空間にその声は尚も響き続ける。
――悠久の守り手か……
――世の礎と化すか……
――陰を背負いて闇に沈むか……
螺旋を描くように。重なり合うように。言葉はどこからともなく降り注ぐ。
――選びなさい……
――選びなさい……
――選びなさい……
意味を咀嚼する前に、再び場面が切り替わった。何もない空間から一転、眼下に会議場が現れる。
そこには多くの貴族が集まっていた。円状に並べられた卓に座り、上座にいるのはディートリヒ王だ。
その場面を見下ろしながら、自然と意識が一点に引き寄せられた。
囲まれた中央でツェーザルが縄で縛られ拘束されている。背後には王城騎士が立ち、その様相はまるで罪人扱いに思えた。
「冤罪だ! わたしは何もしていない!!」
愛しい人の声に心がざわついた。なぜツェーザルが攻め立てられているのか。
助けに入ろうにも下に近づけない。歯噛みする思いで宙からやりとりを見守った。
「ザイデル公爵、いい加減罪を認めては如何かな?」
「ならば証拠を出せ。わたしがハインリヒ王子の命を狙ったという確かな証拠を!」
「イジドーラ嬢を使い、王妃の離宮に刺客を手引きさせたことは明らか。多くの女官の証言がありますぞ」
「そんなことを企んだ覚えはない! ディートリヒ王! 王は女官の戯言を信じ、公爵であるわたしを疑うのかっ」
詰め寄ろうとしたところを騎士に抑え込まれる。屈辱の表情でツェーザルは片膝をつかされた。
「王に対してなんと不敬な! 証拠ならばここにございますぞ」
貴族たちがどよめく中、重厚な木箱が運ばれてくる。後ろ手に拘束されているツェーザルの目の前で、その蓋がゆっくりと開けられた。
箱の中には剝き出しの短剣と、大粒のルビーが輝く首飾りが鎮座している。それを見てツェーザルは訝しげに眉をひそめた。
「これが証拠だと……?」
紅の女の視線が吸い寄せられる。
あの首飾りは愛しい男から贈られた大切なものだ。愛されている証である輝きを、あの日も大事に下げて事に挑んだ。
――悠久の守り手か……
――世の礎と化すか……
――陰を背負いて闇に沈むか……
螺旋を描くように。重なり合うように。言葉はどこからともなく降り注ぐ。
――選びなさい……
――選びなさい……
――選びなさい……
意味を咀嚼する前に、再び場面が切り替わった。何もない空間から一転、眼下に会議場が現れる。
そこには多くの貴族が集まっていた。円状に並べられた卓に座り、上座にいるのはディートリヒ王だ。
その場面を見下ろしながら、自然と意識が一点に引き寄せられた。
囲まれた中央でツェーザルが縄で縛られ拘束されている。背後には王城騎士が立ち、その様相はまるで罪人扱いに思えた。
「冤罪だ! わたしは何もしていない!!」
愛しい人の声に心がざわついた。なぜツェーザルが攻め立てられているのか。
助けに入ろうにも下に近づけない。歯噛みする思いで宙からやりとりを見守った。
「ザイデル公爵、いい加減罪を認めては如何かな?」
「ならば証拠を出せ。わたしがハインリヒ王子の命を狙ったという確かな証拠を!」
「イジドーラ嬢を使い、王妃の離宮に刺客を手引きさせたことは明らか。多くの女官の証言がありますぞ」
「そんなことを企んだ覚えはない! ディートリヒ王! 王は女官の戯言を信じ、公爵であるわたしを疑うのかっ」
詰め寄ろうとしたところを騎士に抑え込まれる。屈辱の表情でツェーザルは片膝をつかされた。
「王に対してなんと不敬な! 証拠ならばここにございますぞ」
貴族たちがどよめく中、重厚な木箱が運ばれてくる。後ろ手に拘束されているツェーザルの目の前で、その蓋がゆっくりと開けられた。
箱の中には剝き出しの短剣と、大粒のルビーが輝く首飾りが鎮座している。それを見てツェーザルは訝しげに眉をひそめた。
「これが証拠だと……?」
紅の女の視線が吸い寄せられる。
あの首飾りは愛しい男から贈られた大切なものだ。愛されている証である輝きを、あの日も大事に下げて事に挑んだ。