嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
◇
ルチアを担いだまま、汗だくでベッティは膝をついた。
来た廊下を振り返る。上がる息をどうにか整えながら、禁忌の異形の気配を探った。
なんとか遠くまで逃げて来られたようだ。しかし随分と砦の外れまで来てしまっている。
「……ベッティ?」
「ああ、よかったですぅ。ルチア様、正気に戻られましたかぁ?」
「ここは……?」
ルチアは不思議そうに辺りを見回した。
そのとき、きゅるるんおめめを潤ませた小鬼がルチアの腕に飛び込んでくる。
「なぁんにも覚えてらっしゃらないんですねぇ。相当ヤバめな状況でしたよぅ」
「や、ヤバめって何? わたしがあの部屋を出たのは仕方なくよ。だってこの子が急に飛び出してっちゃったんだもの」
「ああ、あの異形の毒気に中てられたんでしょうねぇ。リーゼロッテ様が逃がしてくれたからよかったものの、ルチア様、もう少しで取り憑かれるところでしたよぅ」
「でも異形の者なんていなかったわ。綺麗な紅い光なら見たけれど……」
「アレが綺麗に視えたんですかぁ? それは超絶ヤバめですねぇ」
大仰に驚いたベッティにルチアはむっとした顔をした。
「だってすごく綺麗だったもの。まるで宝石みたいに輝いて、見ててすごくうっとりするくらい……」
「その光こそが異形の者の本体ですよぅ」
異形の視え方は本人の力量によって千差万別だ。なんとなく気配を感じられるレベルから、くっきりはっきり見えるレベルまで様々だった。
ベッティにはぼんやりと人型の異形が視えた。それも最凶ランクの悪意ある異形の者だ。それをルチアは光として視たのだろう。
(にしても綺麗だなんてぇ)
あんな凶悪なモノが美しく感じるのは、それに共鳴する負の念をルチアが持ち合わせているからだ。
悪意ある異形が好んで狙うのは、自分と同じ闇の要素を持つ人間と言われている。いわゆる類は友を呼ぶと言うやつで、似た者同士の方が取り憑きやすいと言うことだろう。
ルチアを担いだまま、汗だくでベッティは膝をついた。
来た廊下を振り返る。上がる息をどうにか整えながら、禁忌の異形の気配を探った。
なんとか遠くまで逃げて来られたようだ。しかし随分と砦の外れまで来てしまっている。
「……ベッティ?」
「ああ、よかったですぅ。ルチア様、正気に戻られましたかぁ?」
「ここは……?」
ルチアは不思議そうに辺りを見回した。
そのとき、きゅるるんおめめを潤ませた小鬼がルチアの腕に飛び込んでくる。
「なぁんにも覚えてらっしゃらないんですねぇ。相当ヤバめな状況でしたよぅ」
「や、ヤバめって何? わたしがあの部屋を出たのは仕方なくよ。だってこの子が急に飛び出してっちゃったんだもの」
「ああ、あの異形の毒気に中てられたんでしょうねぇ。リーゼロッテ様が逃がしてくれたからよかったものの、ルチア様、もう少しで取り憑かれるところでしたよぅ」
「でも異形の者なんていなかったわ。綺麗な紅い光なら見たけれど……」
「アレが綺麗に視えたんですかぁ? それは超絶ヤバめですねぇ」
大仰に驚いたベッティにルチアはむっとした顔をした。
「だってすごく綺麗だったもの。まるで宝石みたいに輝いて、見ててすごくうっとりするくらい……」
「その光こそが異形の者の本体ですよぅ」
異形の視え方は本人の力量によって千差万別だ。なんとなく気配を感じられるレベルから、くっきりはっきり見えるレベルまで様々だった。
ベッティにはぼんやりと人型の異形が視えた。それも最凶ランクの悪意ある異形の者だ。それをルチアは光として視たのだろう。
(にしても綺麗だなんてぇ)
あんな凶悪なモノが美しく感じるのは、それに共鳴する負の念をルチアが持ち合わせているからだ。
悪意ある異形が好んで狙うのは、自分と同じ闇の要素を持つ人間と言われている。いわゆる類は友を呼ぶと言うやつで、似た者同士の方が取り憑きやすいと言うことだろう。