嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
◇
(おかしい……ルチアはどこにいるんだ?)
東側の避難所に行ってみたが、そこにルチアの姿はなかった。
舞踏会の会場を確認しようと、カイは来た道を戻って行った。
その途中でエーミールの姿を認めた。カイと同様、取り残された者がいないか見回っているようだ。
「グレーデン殿! ルチア嬢は?」
駆け寄り様で性急に声がけしたカイに、エーミールは驚きの表情を向けてくる。
「なんだ、忌み児か」
「なんだじゃないよ。グレーデン殿、今日ルチア嬢をエスコートしてたでしょ? 彼女は今どこにいるの?」
「ブルーメ嬢? いや、彼女は騒ぎの前に休憩室に行くと言ってそのときに別れたきりだ。東側にはいなかったのか?」
「いなかったからこうして探してるんだけど?」
「そうか……会場にはもう誰もいないはずだ。見に行くとしたら西側だな」
状況が状況だけに、エーミールもいつものように突っかかってくることはなかった。
なんとなくの流れで、ふたりでルチアを探して歩き出す。
(ベッティがついているだろうし大事にはなっていないと思うけど……)
しかしやたらと異形が殺気立っている。嫌な胸騒ぎがしてカイは無意識に速足になった。
「敵陣は包囲済みってアデライーデ様に聞いたけど。例の異形の対処はどうなってるの?」
「ジークヴァルト様が向かわれたそうだ」
「ああ、それがいちばん確実だね」
あの禁忌の異形は何度もリーゼロッテを狙って来た。力量からしても、迎え撃つのはジークヴァルト以上に適任者はいないだろう。
とはいえ星を堕とす者とはいまだ未知なる存在だ。本来なら騎士団総出で対応すべき緊急事態と言えた。
いずれカイが星に堕ちたら、自分もあんなふうに毒を吐いて回るのだろうか。今さらだがそんなバケモノになる自分が不憫に思えて、カイは他人事のように肩をすくめた。
(どうせ祓われるなら、ジークヴァルト様に痛めつけられるよりもリーゼロッテ様にやさしく浄化されたいかもな)
そんな笑えないことを考えたカイは、ふと星読みの神殿でのことを思い出した。
(おかしい……ルチアはどこにいるんだ?)
東側の避難所に行ってみたが、そこにルチアの姿はなかった。
舞踏会の会場を確認しようと、カイは来た道を戻って行った。
その途中でエーミールの姿を認めた。カイと同様、取り残された者がいないか見回っているようだ。
「グレーデン殿! ルチア嬢は?」
駆け寄り様で性急に声がけしたカイに、エーミールは驚きの表情を向けてくる。
「なんだ、忌み児か」
「なんだじゃないよ。グレーデン殿、今日ルチア嬢をエスコートしてたでしょ? 彼女は今どこにいるの?」
「ブルーメ嬢? いや、彼女は騒ぎの前に休憩室に行くと言ってそのときに別れたきりだ。東側にはいなかったのか?」
「いなかったからこうして探してるんだけど?」
「そうか……会場にはもう誰もいないはずだ。見に行くとしたら西側だな」
状況が状況だけに、エーミールもいつものように突っかかってくることはなかった。
なんとなくの流れで、ふたりでルチアを探して歩き出す。
(ベッティがついているだろうし大事にはなっていないと思うけど……)
しかしやたらと異形が殺気立っている。嫌な胸騒ぎがしてカイは無意識に速足になった。
「敵陣は包囲済みってアデライーデ様に聞いたけど。例の異形の対処はどうなってるの?」
「ジークヴァルト様が向かわれたそうだ」
「ああ、それがいちばん確実だね」
あの禁忌の異形は何度もリーゼロッテを狙って来た。力量からしても、迎え撃つのはジークヴァルト以上に適任者はいないだろう。
とはいえ星を堕とす者とはいまだ未知なる存在だ。本来なら騎士団総出で対応すべき緊急事態と言えた。
いずれカイが星に堕ちたら、自分もあんなふうに毒を吐いて回るのだろうか。今さらだがそんなバケモノになる自分が不憫に思えて、カイは他人事のように肩をすくめた。
(どうせ祓われるなら、ジークヴァルト様に痛めつけられるよりもリーゼロッテ様にやさしく浄化されたいかもな)
そんな笑えないことを考えたカイは、ふと星読みの神殿でのことを思い出した。