嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
 ベッティは小さく頷いた。
 息を飲み、カイは一瞬動きを止めた。

「忌み児、早く戻って手当を」
「グレーデン殿」

 抱き上げたベッティを、カイは無理やりエーミールに押しつけた。かと思うと、やさしくベッティの頭をいい子いい子となでつける。
 このいい子いい子は絶対に人目があるときにはしないものだ。不安そうなベッティがエーミールの腕から見上げてきた。

「カイ坊ちゃま……」
「よく頑張ったね、ベッティ。もう、何も心配いらないから」

 穏やかな瞳で微笑みかけて、カイはベッティから手を離す。はっとなったベッティは、それ以上の言葉を飲み込んだ。

「じゃあグレーデン殿、ベッティのことよろしく」

 先の廊下を鋭く見据え、カイはふたりに背を向ける。

「待て、忌み児! 貴様はどこへ行くんだ!」
「ちょっと宿命を果たしにね」

 その言葉を残し、カイはルチアを目指して駆け出した。


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