嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
◇
「ったく、どんだけ広いんだよ!」
駆ける廊下で毒づいた。かなり進んだが未だルチアは見つけられない。
それでもここを通ったことは間違いなさそうだ。
ルチアが脱いだであろう靴が無造作に転がっている。気配の残り香を辿って、カイはさらに走る速度を上げていった。
胸騒ぎにどうしようもなく気が急いた。
異形に襲われるルチアを助け出すとき、カイは星に堕ちる運命だ。
今、その時が来た。
そんな確信めいた予感を抱く。
だがそれとともに、先にルチアが騎士団に保護されていればと、そんな笑い話になることもカイは同時に願っていた。
(なんだ……?)
何かが崩れるような地響きがする。
その直後、急激に紅の瘴気が広がるのが感じられた。
「ルチア……!」
思うよりも早く駆け出した。
すぐに取り憑かれた男の姿が目に映る。その背には膨大な数の異形の者が揺らめいていた。
どの異形も苦悶の叫びを上げ、苦しみの中で身悶えている。
(本体に飲まれたのか――)
覆いかぶさるように、紅の女が男に絡みついている。男の自我などとっくに崩壊しているのだろう。
ぶつぶつと何かを口にしながら、おぼつかない足取りで男は何かに手を伸ばした。
「やめて! 触らないでって言ってるでしょっ」
半泣きのルチアが壁際に追い詰められている。
今まさに届きそうな手の距離に、カイは思わずつぶやいた。
「オレのおもちゃに……」
手の内に力をためて、迷わず走り寄る。
「汚い手で触んなよっ」
「ったく、どんだけ広いんだよ!」
駆ける廊下で毒づいた。かなり進んだが未だルチアは見つけられない。
それでもここを通ったことは間違いなさそうだ。
ルチアが脱いだであろう靴が無造作に転がっている。気配の残り香を辿って、カイはさらに走る速度を上げていった。
胸騒ぎにどうしようもなく気が急いた。
異形に襲われるルチアを助け出すとき、カイは星に堕ちる運命だ。
今、その時が来た。
そんな確信めいた予感を抱く。
だがそれとともに、先にルチアが騎士団に保護されていればと、そんな笑い話になることもカイは同時に願っていた。
(なんだ……?)
何かが崩れるような地響きがする。
その直後、急激に紅の瘴気が広がるのが感じられた。
「ルチア……!」
思うよりも早く駆け出した。
すぐに取り憑かれた男の姿が目に映る。その背には膨大な数の異形の者が揺らめいていた。
どの異形も苦悶の叫びを上げ、苦しみの中で身悶えている。
(本体に飲まれたのか――)
覆いかぶさるように、紅の女が男に絡みついている。男の自我などとっくに崩壊しているのだろう。
ぶつぶつと何かを口にしながら、おぼつかない足取りで男は何かに手を伸ばした。
「やめて! 触らないでって言ってるでしょっ」
半泣きのルチアが壁際に追い詰められている。
今まさに届きそうな手の距離に、カイは思わずつぶやいた。
「オレのおもちゃに……」
手の内に力をためて、迷わず走り寄る。
「汚い手で触んなよっ」