嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
     ◇
 馬車を降りて、曇天の下でそびえ立つラウエンシュタイン城を見上げた。
 深い堀の向こうから長い跳ね橋が降ろされてくる。

『じゃあ、リーゼロッテが中に入ったらオレはヴァルトの元に帰るね』
「はい……ここまで一緒に来てくださって、本当にありがとうございました」
『どういたしまして』

 これでしばらくジークヴァルトとすぐには連絡が取れなくなる。
 自分が望んだこととはいえ、急に不安がこみ上げた。

『心配しないで。帰る時はヴァルトが迎えに来るよ』

 やさしい笑顔にリーゼロッテは小さく頷き返した。
 ジークハルトを残し、降り切った橋を渡っていく。途中で振り向くと、ジークハルトがひらひらと手を振り返してきた。
 心を決め城門目指して進む。
 既に開かれていた門の前で、老齢の女性が背筋を伸ばして待っていた。彼女はラウエンシュタイン家の家令のルルだ。

「お帰りなさいませ、リーゼロッテ様」

 見知った人間がいると、やはり心がほっとする。
 三角定規のようにぴしりと腰を折ったルルに、リーゼロッテは微笑みかけた。

「ルル、久しぶりね。ここまで出迎えてくれてありがとう」
「それは当然のことにございます。長旅でお疲れでしょう。すぐに暖かいお部屋にご案内いたします」

 この石畳の上を、前回はジークヴァルトと並んで歩いた。
 どうしてこんなことになってしまったのだろうか。進むごとに、そんな思いばかりが頭を巡る。

「ルチア様とベッティにはすぐ会えるかしら……?」
「おふたりにはすぐにお声がけいたします。ですがルチア様はずっと臥せっておいでのため、本日お会いできるかどうか」
「そう……だったら無理はして欲しくないわ」

 どのみち当分の間はこの城に滞在する予定だ。
 急いだところで何の意味もない。

(それに……)

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