嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
「そう言えば坊ちゃまが言ってましたぁ。ルチア様にふたつ目のあざがあるって知った日にぃ、ずっと探していた“対の託宣“が見つかったってぇ」
「対の託宣が……? カイ様とルチア様は対になる託宣をお持ちだったの……?」
「それはわたしには分かりませんがぁ……おふたりが惹かれ合っていたことだけは確かだと思いますぅ」
いちばんふたりの近くにいたベッティだ。
その彼女が言うのなら、きっと間違いはないのだろう。
(だけどカイ様は……)
ルチアを弄んで楽しんでいるようにしか見えなかった。
対の託宣とは、もしかしたら婚姻以外の形もあるのかもしれない。
クリスティーナが受けた身代わりの託宣も、リーゼロッテと対になっていると言われればそう思えなくもなかった。
だがどれも憶測に過ぎないことだ。
カイがいなくなった今、真相を確かめる術は何もない。
「カイ様のこと、ルチア様は何と言っているの? カイ様を探していたのなら、そこにカイ様がいたってことでしょう?」
「ルチア様はただ坊ちゃまがいないと繰り返すばかりでぇ……でも確かにあのときルチア様は坊ちゃまに会っていたはずなんですぅ。それだけは絶対にそうって言い切れますぅ」
悔しそうにベッティは唇を噛みしめた。
誰もがカイを覚えていない状況で、ルチアを支えこれまでひとりつき添って来たのだ。
どれだけ心細い思いをしてきたのかと思うとリーゼロッテの胸も痛んだ。
「そう言えば……ベッティたちはどうしてこの城に来ることになったの?」
「それはわたしにもぉ。迎えの馬車に乗ったときはぁ、てっきりわたしも王都経由でブルーメ領に帰るもんだと思っていたんですよぅ」
「それが着いたらラウエンシュタインだったの?」
困惑顔のままベッティは頷いた。
本当に何から何まで分からないことだらけだ。
一度会話が途切れたそのときに、ふいに扉が開かれた。
「ルル、ごめんなさい、まだもう少し……」
長いこと話し込んでいたため、てっきり家令のルルが様子を見に来たのだと思った。
しかしそこにいたのは虚ろな瞳のルチアだった。幽霊のように生気のない顔で、裸足のままふらりと中に入ってくる。
「対の託宣が……? カイ様とルチア様は対になる託宣をお持ちだったの……?」
「それはわたしには分かりませんがぁ……おふたりが惹かれ合っていたことだけは確かだと思いますぅ」
いちばんふたりの近くにいたベッティだ。
その彼女が言うのなら、きっと間違いはないのだろう。
(だけどカイ様は……)
ルチアを弄んで楽しんでいるようにしか見えなかった。
対の託宣とは、もしかしたら婚姻以外の形もあるのかもしれない。
クリスティーナが受けた身代わりの託宣も、リーゼロッテと対になっていると言われればそう思えなくもなかった。
だがどれも憶測に過ぎないことだ。
カイがいなくなった今、真相を確かめる術は何もない。
「カイ様のこと、ルチア様は何と言っているの? カイ様を探していたのなら、そこにカイ様がいたってことでしょう?」
「ルチア様はただ坊ちゃまがいないと繰り返すばかりでぇ……でも確かにあのときルチア様は坊ちゃまに会っていたはずなんですぅ。それだけは絶対にそうって言い切れますぅ」
悔しそうにベッティは唇を噛みしめた。
誰もがカイを覚えていない状況で、ルチアを支えこれまでひとりつき添って来たのだ。
どれだけ心細い思いをしてきたのかと思うとリーゼロッテの胸も痛んだ。
「そう言えば……ベッティたちはどうしてこの城に来ることになったの?」
「それはわたしにもぉ。迎えの馬車に乗ったときはぁ、てっきりわたしも王都経由でブルーメ領に帰るもんだと思っていたんですよぅ」
「それが着いたらラウエンシュタインだったの?」
困惑顔のままベッティは頷いた。
本当に何から何まで分からないことだらけだ。
一度会話が途切れたそのときに、ふいに扉が開かれた。
「ルル、ごめんなさい、まだもう少し……」
長いこと話し込んでいたため、てっきり家令のルルが様子を見に来たのだと思った。
しかしそこにいたのは虚ろな瞳のルチアだった。幽霊のように生気のない顔で、裸足のままふらりと中に入ってくる。