嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
「ねぇエルヴィン、花嫁はまだ決まらないの?」
「急かさないでくださいよ、母上。グレーデン家の未来にも関わる話なんですから」
「そんなこと言って単に遊び足りないだけじゃないのか? いい加減身を固めてさっさと家を継いでくれ」
「エメリヒの言う通りよ。あなたが結婚したら、わたくしたちはすぐこの屋敷を出て行くわ。気兼ねなく好きな娘を選んでちょうだい」
「母上が嫁いびりをするなんて思っていませんよ」

 エルヴィンは軽く肩をすくめた。
 長い間義母ウルリーケの監視と小言を、耐えに耐えてきたカミラだ。それを踏襲する気でいるのなら、さすがのエルヴィンも妻を守るために口を出さざるを得なくなるが。

「くだらないこと言わないで。そんなことに興味あるわけないでしょう? わたくしは早く王都のタウンハウスに移りたいのよ」
「そうだぞ、エルヴィン。その方が夜会に出かけやすいじゃないか」

 子育てにすら関心がなかった両親だ。
 エルヴィンが誰を選ぼうと、まったく意に介さないと言うのは実にあり得る話だ。

「では早速選んできますよ。その代わり誰を迎えても、一切の文句はなしですからね」

 念のため釘を刺し、エルヴィンは立ち上がった。
 それでも今日会う相手だけは選ぶことはないと、そんなことを思いながら。

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