嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
◇
(本当に噴水が見たかったんだな……)
ベンチにひとり座ったエルヴィンは、日傘をくるくる回してはしゃぐクラーラの背中を見つめていた。
ほかの令嬢だったら、今頃行った貴族街で何か物をねだってきていることだろう。
それなのに目の前のクラーラは噴水のしぶきに飽きもせず夢中になっている。
これと言って特筆すべき点がないと言うのに、彼女の何もかもが令嬢の規格から外れまくりだ。
(思えば乗馬も彼女だけが乗り気だったな)
大抵の令嬢は馬を嫌がって事前に断ってくるか、受けたとしても乗馬ドレスを身に纏ってやって来た。もちろんエルヴィンも密着できる相乗りを想定してのお誘いだった。
しかし最初のデートの日、クラーラだけは本格的な乗馬ズボンを履いて現れた。
クラーラと並んで馬を走らせたのは楽しかったと言えば楽しかった。だが友人と遊んだだけの感覚で、男女の親睦を深めるようなデートとは到底思えない。
「やっぱり彼女はないな……」
ぽつりとつぶやいた瞬間、突風がクラーラの日傘を跳ね上げた。
「きゃあ!」
天高く舞ったフリルの傘を、エルヴィンは俊敏な動きでキャッチした。
都合よく頬に雨粒を感じ、クラーラを傘の中へと抱き寄せる。
「本降りになりそうだ」
思っていたよりも雨脚が早い。
手を引いて、目についた屋根付きのガゼボに足早に誘った。
「危なかったね。濡れてはいないかい?」
「は、はひ、エルヴィン様のお陰で大丈夫です」
駆け込んだ直後、雨が滝のように落ちてきた。
遠くで雷鳴が響いている。これはしばらく止むことはないだろう。
(本当に噴水が見たかったんだな……)
ベンチにひとり座ったエルヴィンは、日傘をくるくる回してはしゃぐクラーラの背中を見つめていた。
ほかの令嬢だったら、今頃行った貴族街で何か物をねだってきていることだろう。
それなのに目の前のクラーラは噴水のしぶきに飽きもせず夢中になっている。
これと言って特筆すべき点がないと言うのに、彼女の何もかもが令嬢の規格から外れまくりだ。
(思えば乗馬も彼女だけが乗り気だったな)
大抵の令嬢は馬を嫌がって事前に断ってくるか、受けたとしても乗馬ドレスを身に纏ってやって来た。もちろんエルヴィンも密着できる相乗りを想定してのお誘いだった。
しかし最初のデートの日、クラーラだけは本格的な乗馬ズボンを履いて現れた。
クラーラと並んで馬を走らせたのは楽しかったと言えば楽しかった。だが友人と遊んだだけの感覚で、男女の親睦を深めるようなデートとは到底思えない。
「やっぱり彼女はないな……」
ぽつりとつぶやいた瞬間、突風がクラーラの日傘を跳ね上げた。
「きゃあ!」
天高く舞ったフリルの傘を、エルヴィンは俊敏な動きでキャッチした。
都合よく頬に雨粒を感じ、クラーラを傘の中へと抱き寄せる。
「本降りになりそうだ」
思っていたよりも雨脚が早い。
手を引いて、目についた屋根付きのガゼボに足早に誘った。
「危なかったね。濡れてはいないかい?」
「は、はひ、エルヴィン様のお陰で大丈夫です」
駆け込んだ直後、雨が滝のように落ちてきた。
遠くで雷鳴が響いている。これはしばらく止むことはないだろう。