嘘つきな騎士と破られた託宣 -龍の託宣6-
     ◇
 それから数週間、いくつかご夫人相手のお茶会をそつなくこなし、リーゼロッテも公爵夫人としての生活が板についてきた。ジークヴァルトの奇行の数々も、先手を打ってうまいこと阻止できている。

(だいぶデータも集まったし、おかげでヴァルト様への対策も立てやすいわ)

 放っておくと茶会や夜会でも、隙あらばあーんや抱っこをやらかすので、絶対にやめるよう強めに交渉した。代わりにあーんのノルマを一日二回に引き上げられてしまったが、公爵家内でやる分にはもう慣れっこだ。

(あーんの繰り越しができるなら、前払い方式を導入するのもいい案かも)

 その日のノルマが消化できなかったとき、翌日以降に繰り越されるルールは相変わらずだ。たまった分をまとめて消化することも多いので、時間が取れた日に数日先まであーんし倒すという手もありだろう。

(ノルマが一日二回になったんじゃ、溜まりすぎたときに厄介だものね)

 あとはどうやってジークヴァルトを言いくるめるかだ。譲歩する代わりにまた新しいルールを加えられては、自分の首を絞めているだけになりかねない。

「夫婦の決め事って、普通こんなじゃないはずなのに……」

 コレジャナイ感がハンパない。夜会茶会であーんと膝抱っこはNGだとか、とてもではないが余所(よそ)でできる話ではなかった。
 いちばん近しい存在であるエラにも、内緒にしていることがたくさんある。特に夫婦の営みに関しては、ひとり思い悩むしかないリーゼロッテだ。

(発〇小町とか、匿名スレがほしいわね。顔が見えなければ、思い切って相談できそうだし)

 同様の悩みを抱える人間は、探せば案外いるかもしれない。話を聞いてもらえるだけでも気が楽になりそうだ。

 ジークヴァルトとの夜の営みは、なんというかとにかく長い。それが標準なのか、経験値ゼロスタートのリーゼロッテにしてみれば比較対象がないのが現状だ。
 しかしご夫人同士の()()けな話を耳にする限りでは、やはり長すぎることがうすうす分かってきた。

 夜のジークヴァルトまとめとしては、だいたい以下の通りだ。

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