月明かりの下で、あなたに恋をした

【柊さんへ

段ボールを開けたんですね。
それだけで、大きな一歩です。

ぜひ、お会いしたいです。
作品、見せてください。

今週末、土曜日の午後はいかがですか?
駅前のカフェ「ブルームーン」で。

14時でどうでしょうか。
楽しみにしています。

葛城】


私は、何度もメールを読み返した。

葛城さんに会える。土曜日に、会えるんだ……!

これまでにないくらい、胸が高鳴る。私はすぐに返信を書いた。


【葛城さんへ

ありがとうございます。
土曜日の午後2時、伺います。

柊彩葉】


送信したあとも、私はしばらく個室から出られなかった。ドキドキが止まらない。

土曜日まであと4日。葛城さんに、会える。そして、作品を見せる。

怖いけど、楽しみ。久しぶりの高揚感。

そして──彼に会いたい。その気持ちが、一番強かった。



土曜日、午後2時。私は駅前のカフェ「ブルームーン」の前に立っていた。

落ち着いた外観。ガラス窓から、温かな照明が見える。

私は、深呼吸する。トートバッグには、『星降る森のおくりもの』が入っている。

大丈夫。意を決し、私は扉を開けた。

店内は静かで、木の温もりを感じるインテリア。

店内を見渡すと、窓際の席にいた──葛城さんだ。
< 17 / 47 >

この作品をシェア

pagetop