社内では言えないけど ―私と部長の秘匿性高めな恋愛模様―
人生初の大抜擢
湯浅部長は私が置かれた状況を理解してくれたようだけど、現実に変化が現れるかといったら、そんな簡単なこのではない。
私が部長と面談した翌日、村重さんは相変わらず、貯めに貯めた集計作業を私に振ってきた。
それを見た大村さんが、『お前、部長に注意されたそばからそれかよ……』と呆れ顔をしても悪びれない。
そして、自分は残業する私より早く帰っていくーーいつものことだし、正直慣れっこだ。
エクセルの表にテンキーで数字を入力しながら、そう言えば、と思い出した。
手を止め、デスクの隅の卓上カレンダーを見遣る。
湯浅部長は、私の残業は週末に偏ってると言っていたっけ。
今日は木曜日。
確かに、当たってる。
私の残業の原因がすべて村重さんにあるわけじゃないけど、私の頼まれ仕事の大半は彼女からだ。
個人面談で部長にちくりと言われたにも関わらずこれじゃあ……やっぱり、改善は期待できそうにない。
思わず、深い溜め息が零れる。
でも、いつもよりは幾分心が軽い。
凝り固まった肩を回してから、私は入力作業を再開した。
フロアには、まだ他のチームの社員が疎らに残っている。
後三十分で切り上げれば、今日は私が最終退社にならずに済むだろうか。
パソコンモニターの右下のデジタル時計表示を気にしながら、作業を進める。
するとしばらくして、こちらに足音が近づいてきた。
なんとなく手を止め、顔を上げると、
「お疲れ様」
ちょうど私の傍らで立ち止まった湯浅部長と目が合った。
私が部長と面談した翌日、村重さんは相変わらず、貯めに貯めた集計作業を私に振ってきた。
それを見た大村さんが、『お前、部長に注意されたそばからそれかよ……』と呆れ顔をしても悪びれない。
そして、自分は残業する私より早く帰っていくーーいつものことだし、正直慣れっこだ。
エクセルの表にテンキーで数字を入力しながら、そう言えば、と思い出した。
手を止め、デスクの隅の卓上カレンダーを見遣る。
湯浅部長は、私の残業は週末に偏ってると言っていたっけ。
今日は木曜日。
確かに、当たってる。
私の残業の原因がすべて村重さんにあるわけじゃないけど、私の頼まれ仕事の大半は彼女からだ。
個人面談で部長にちくりと言われたにも関わらずこれじゃあ……やっぱり、改善は期待できそうにない。
思わず、深い溜め息が零れる。
でも、いつもよりは幾分心が軽い。
凝り固まった肩を回してから、私は入力作業を再開した。
フロアには、まだ他のチームの社員が疎らに残っている。
後三十分で切り上げれば、今日は私が最終退社にならずに済むだろうか。
パソコンモニターの右下のデジタル時計表示を気にしながら、作業を進める。
するとしばらくして、こちらに足音が近づいてきた。
なんとなく手を止め、顔を上げると、
「お疲れ様」
ちょうど私の傍らで立ち止まった湯浅部長と目が合った。