社内では言えないけど ―私と部長の秘匿性高めな恋愛模様―
似た者同士な二人
 とある週末、私は少し早起きして、オフィス近くのカフェの開店時間に合わせて外出した。
 この間光山さんから、最近オープンしたお店のことを聞いて興味を持ったのだ。
 朝は七時から営業していて、周辺のオフィスで働くビジネスマンに美味しくてヘルシーな朝食を提供しているのだとか。
 オフィス街の飲食店の多くが、土日祝日を定休日としているけど、そのカフェは開店時間を遅らせて、ブランチ営業をしているそう。
 だから、先輩たちの話題に参加できるよう、休日に来てみたというわけだ。
 午前十時の開店前から、お店の前には短い列ができていた。
 私は開店十分前に到着して、列の最後尾に並んだけど、なんとかギリギリで入店できた。
 開店と同時に店内は満席になり、一気に賑わった。
 だけど、一人や二人の客が多く、騒がしくはない。
 店員は客が並んでいた順にオーダーを取り、私のところには最後にやってきた。
 光山さんから得たのは平日のブレックファーストの情報だけど、今日は土曜日。
 ブランチセットをオーダーして、ほう、と一息つく。
 ホットカフェオレはすぐに運ばれてきた。
 早速、両手でカップを持って口をつける。
 コーヒーの種類に詳しくはないけど、香ばしく深みのあるコーヒーに、ミルクの自然な甘みが優しく感じられる。
 カップをソーサーに戻し、傍に置いたスマホにメモしてから、改めて周りを見回した。
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