社内では言えないけど ―私と部長の秘匿性高めな恋愛模様―
だけど……もしかしたら、出過ぎた真似だったかもしれない。
部長、ちょっと困ってるようにも見えるし、迷惑だったらどうしようーー。
部長の反応を見るのが怖くて、私はぎゅっと目を閉じ、ほとんど祈るように両手を組み合わせた。
すると。
「では、こちらのお席にどうぞ」
店員の声が近づいてきて、恐る恐る目を開く。
「ありがとう」
まず視界に飛び込んできたのは、私の対面に立つ部長の姿だった。
彼は案内してくれた店員にお礼を言ってから、改めて私に向き直る。
「ええと……申し出はありがたいが、本当に相席させてもらってよかったのか?」
わずかに視線を外して訊ねる声には、明らかな戸惑いの色が滲んでいる。
「か、かえってご迷惑でしたら、本当に申し訳ありません……」
恐縮のあまり、私は全身をガチガチに強張らせた。
先ほどまで涼しく思えたテラス席なのに、変な汗が滲む。
「いや、助かった。噂を聞いて気になって来たんだが、この後用があって。他に店を探すにも時間が足りなかったから」
「そ、そうですか。よかった……」
その言葉にようやくホッとして、私は表情を緩めることができた。
「では、お邪魔させてもらうよ」
「はい」
部長が椅子を引くのを見て、私も腰を戻した。
メニューを開かず、迷うことなくブランチセットをオーダーするのを見ると、部長も朝食の噂を聞いたようだ。
水を飲んで一息つく部長を、私はそっと窺い見た。
部長、ちょっと困ってるようにも見えるし、迷惑だったらどうしようーー。
部長の反応を見るのが怖くて、私はぎゅっと目を閉じ、ほとんど祈るように両手を組み合わせた。
すると。
「では、こちらのお席にどうぞ」
店員の声が近づいてきて、恐る恐る目を開く。
「ありがとう」
まず視界に飛び込んできたのは、私の対面に立つ部長の姿だった。
彼は案内してくれた店員にお礼を言ってから、改めて私に向き直る。
「ええと……申し出はありがたいが、本当に相席させてもらってよかったのか?」
わずかに視線を外して訊ねる声には、明らかな戸惑いの色が滲んでいる。
「か、かえってご迷惑でしたら、本当に申し訳ありません……」
恐縮のあまり、私は全身をガチガチに強張らせた。
先ほどまで涼しく思えたテラス席なのに、変な汗が滲む。
「いや、助かった。噂を聞いて気になって来たんだが、この後用があって。他に店を探すにも時間が足りなかったから」
「そ、そうですか。よかった……」
その言葉にようやくホッとして、私は表情を緩めることができた。
「では、お邪魔させてもらうよ」
「はい」
部長が椅子を引くのを見て、私も腰を戻した。
メニューを開かず、迷うことなくブランチセットをオーダーするのを見ると、部長も朝食の噂を聞いたようだ。
水を飲んで一息つく部長を、私はそっと窺い見た。