社内では言えないけど ―私と部長の秘匿性高めな恋愛模様―
「違わない……です。私……どうしてだろう」
 肯定したものの、私の胸には困惑が色濃く広がっていく。
 新しいプロジェクトチームの中で、私はほんの少しいい方向に変われた自覚がある。
 こんな私でも居場所がある。
 そういう心地よさが私の心を明るくしてくれている、だけどそこでも、私はやはり聞き役だ。
 無理に発言せずとも、そこにいていいんだと思えるだけで、私自身がなにか変わったわけじゃなかった。
 でも、部長と一緒にいる今の私は確かに違う。
 部長に意見を求められて、自分からたくさん喋ってしまうのだから。
「……?」
 答えが見つからず、私は眉を寄せて首を傾げた。
 部長は、そんな私をクスッと笑うと。
「私も君も、抱えている問題は異なるが、コンプレックスに悩む似た者同士だから……それでいいんじゃないか?」
 回答ではない、でも確かな道筋を与えられた気がして、私は部長をまっすぐ見つめた。
「似た者同士……私と部長が、ですか?」
「不服か? 私と似た者同士と言われるのは」
 他人から『怖い』と言われることを、部長は言葉以上に気にしているんだろう。
 私には『自分を卑下するな』と言った部長が、自分のことを嫌われ者と決めつけた言い方をする。
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