社内では言えないけど ―私と部長の秘匿性高めな恋愛模様―
私がそっと会釈すると、部長はちょっぴり困ったように眉尻を下げる。
『上手くいかなかったの、見られてたか』
そんな心の声が読めてしまい、嬉しくて仕方ない。
目を細め、にっこりと微笑んでから、今度こそパソコンに視線を戻した。
仕事を再開する私の心は弾んでいた。
秘密の競争。
私と部長だけに通じる、秘密のやり取り。
それが嬉しくて楽しくて、ウキウキしてしまう。
「……? どうしたの、宇佐美さん」
「……えっ?」
突然声をかけられ、ギクッと肩を強張らせた。
隣の席の光山さんが、怪訝そうに私を見ている。
「あ、はい、な、なにか……?」
身を縮めて聞き返した私に、彼はデスクに頬杖をついて首を傾げた。
「いや、なんでもないんだけど、なんか嬉しそうだから」
「嬉しそう……私が、ですか?」
「うん。ニコニコしてたよ」
光山さんに指摘されて、私は思わず頬を摩った。
それがまさに湯浅部長と同じ仕草だと気づき、ドキンと胸が跳ねる。
「あ、ええと……すみません。気持ち悪いですよね。仕事中、一人でニヤニヤしてたら」
ぎこちなく笑って誤魔化すと、光山さんは「いや」とかぶりを振った。
「可愛くていいと思うよ」
サラッと言って、パソコンに向き直る。
私はちょっと呆気に取られ、頬に手を当てたままでいたけれど。
「…………」
肩を竦めて、まっすぐデスクに向かった。
可愛いなんて、初めて言われた。
社交辞令だとわかっていても、やっぱり胸が弾むものだ。
『上手くいかなかったの、見られてたか』
そんな心の声が読めてしまい、嬉しくて仕方ない。
目を細め、にっこりと微笑んでから、今度こそパソコンに視線を戻した。
仕事を再開する私の心は弾んでいた。
秘密の競争。
私と部長だけに通じる、秘密のやり取り。
それが嬉しくて楽しくて、ウキウキしてしまう。
「……? どうしたの、宇佐美さん」
「……えっ?」
突然声をかけられ、ギクッと肩を強張らせた。
隣の席の光山さんが、怪訝そうに私を見ている。
「あ、はい、な、なにか……?」
身を縮めて聞き返した私に、彼はデスクに頬杖をついて首を傾げた。
「いや、なんでもないんだけど、なんか嬉しそうだから」
「嬉しそう……私が、ですか?」
「うん。ニコニコしてたよ」
光山さんに指摘されて、私は思わず頬を摩った。
それがまさに湯浅部長と同じ仕草だと気づき、ドキンと胸が跳ねる。
「あ、ええと……すみません。気持ち悪いですよね。仕事中、一人でニヤニヤしてたら」
ぎこちなく笑って誤魔化すと、光山さんは「いや」とかぶりを振った。
「可愛くていいと思うよ」
サラッと言って、パソコンに向き直る。
私はちょっと呆気に取られ、頬に手を当てたままでいたけれど。
「…………」
肩を竦めて、まっすぐデスクに向かった。
可愛いなんて、初めて言われた。
社交辞令だとわかっていても、やっぱり胸が弾むものだ。