社内では言えないけど ―私と部長の秘匿性高めな恋愛模様―
露わにされた苛立ち。
それが私にまっすぐ向けられていることに戸惑い、無意識に後退りした。
「部長……?」
「光山は理性的な男だからまだいい。もっと強引な、タチの悪い男だったらどうするんだ?」
部長はそう言って、やや乱暴に前髪を掻き上げた。
綺麗にセットされた髪が乱れるのも構わず、ブルッと頭を振る。
そして、感情を抑え込もうとしてか、お腹の底から深い溜め息を漏らした。
「もっと注意した方がいい。今のままじゃ、ロクでもない男でも、強引に押し切られて結婚しました……ってことになりかねない」
「そ、そんな。そんなこと、私だって……」
今までになく冷たい口振りに戸惑い、私は思わず口を挟んだ。
だけど、私が言葉で誰かに敵うはずもない。
「私だって? 人にがっかりさせるのが嫌で断れない君が、強引に迫られて拒否できるとでも?」
わかりやすい嫌味で畳みかけられ、返事に窮してしまう。
「ほら、見たことか」
言葉に詰まった私を見て、部長は素っ気なく短い息を吐く。
部長……私を軽蔑してる?
こんなに突き放す言動は初めてで、私は動揺を隠せない。
「わ……私、あ……」
なにか言わなきゃと思うのに、唇が震えて上手く声が出ない。
情けない。情けないーー。
強い自己嫌悪で、意思に反して顔が歪む。
結局、なにも言えずに唇を噛み、顔を伏せた。
それが私にまっすぐ向けられていることに戸惑い、無意識に後退りした。
「部長……?」
「光山は理性的な男だからまだいい。もっと強引な、タチの悪い男だったらどうするんだ?」
部長はそう言って、やや乱暴に前髪を掻き上げた。
綺麗にセットされた髪が乱れるのも構わず、ブルッと頭を振る。
そして、感情を抑え込もうとしてか、お腹の底から深い溜め息を漏らした。
「もっと注意した方がいい。今のままじゃ、ロクでもない男でも、強引に押し切られて結婚しました……ってことになりかねない」
「そ、そんな。そんなこと、私だって……」
今までになく冷たい口振りに戸惑い、私は思わず口を挟んだ。
だけど、私が言葉で誰かに敵うはずもない。
「私だって? 人にがっかりさせるのが嫌で断れない君が、強引に迫られて拒否できるとでも?」
わかりやすい嫌味で畳みかけられ、返事に窮してしまう。
「ほら、見たことか」
言葉に詰まった私を見て、部長は素っ気なく短い息を吐く。
部長……私を軽蔑してる?
こんなに突き放す言動は初めてで、私は動揺を隠せない。
「わ……私、あ……」
なにか言わなきゃと思うのに、唇が震えて上手く声が出ない。
情けない。情けないーー。
強い自己嫌悪で、意思に反して顔が歪む。
結局、なにも言えずに唇を噛み、顔を伏せた。