社内では言えないけど ―私と部長の秘匿性高めな恋愛模様―
疑われて疑って
執務室に入ると、なにか騒がしいのに気づいた。
私が前に座っていた席の辺りに、人が集まっている。
「……?」
何事かと気にしながら、自分の席に向かうと。
「あ。宇佐美さん!!」
鋭い声で呼び止められ、ビクッと肩を震わせた。
「え……?」
足を止めて振り返った私の元に、村重さんが走ってくる。
私がプロジェクトチームに移ってからは、特に接点もなかった。
そんな彼女が、私の前まで来てピタリと足を止めた。
険しい、強張った顔つきで、私を見据えてくる。
なにか尋常じゃない雰囲気に怯み、私は思わず後退りした。
「お、おはようございます……」
「呑気に挨拶してる場合じゃないのよ。契約書、どこにやったの?」
「契約書……?」
いきなり聞かれても、なんの質問だかわからない。
困惑していると、他の人も集まってきた。
「えーとさ。宇佐美さん、覚えてない? 俺らのチームのアシスタントしてた時、村重に頼まれただろ? 契約書取りに行けって」
説明してくれたのは大村さんだった。
彼もまた、苦い表情を浮かべている。
「は、はい……」
村重さんに頼まれて法務部にお使いしたことなら、たくさんある。
「その契約書がないのよ!!」
私の返事が惚けているように聞こえたのか、村重さんが業を煮やしたように怒鳴った。
その声の大きさに怯み、私は身を竦ませる。
「ないって……どういうことですか……?」
肩を縮めて、村重さんと大村さんに交互に視線を向けた。
「ないったらないの! 言葉の通り」
苛立ちを隠すことなく、村重さんが私に詰め寄ってくる。
私が前に座っていた席の辺りに、人が集まっている。
「……?」
何事かと気にしながら、自分の席に向かうと。
「あ。宇佐美さん!!」
鋭い声で呼び止められ、ビクッと肩を震わせた。
「え……?」
足を止めて振り返った私の元に、村重さんが走ってくる。
私がプロジェクトチームに移ってからは、特に接点もなかった。
そんな彼女が、私の前まで来てピタリと足を止めた。
険しい、強張った顔つきで、私を見据えてくる。
なにか尋常じゃない雰囲気に怯み、私は思わず後退りした。
「お、おはようございます……」
「呑気に挨拶してる場合じゃないのよ。契約書、どこにやったの?」
「契約書……?」
いきなり聞かれても、なんの質問だかわからない。
困惑していると、他の人も集まってきた。
「えーとさ。宇佐美さん、覚えてない? 俺らのチームのアシスタントしてた時、村重に頼まれただろ? 契約書取りに行けって」
説明してくれたのは大村さんだった。
彼もまた、苦い表情を浮かべている。
「は、はい……」
村重さんに頼まれて法務部にお使いしたことなら、たくさんある。
「その契約書がないのよ!!」
私の返事が惚けているように聞こえたのか、村重さんが業を煮やしたように怒鳴った。
その声の大きさに怯み、私は身を竦ませる。
「ないって……どういうことですか……?」
肩を縮めて、村重さんと大村さんに交互に視線を向けた。
「ないったらないの! 言葉の通り」
苛立ちを隠すことなく、村重さんが私に詰め寄ってくる。