社内では言えないけど ―私と部長の秘匿性高めな恋愛模様―
海外事業部で出会ってしまったのは、本当に本当に奇跡的な偶然。
私と話をしてもしかしてと思い、それが確信に変わってからは、隠れてブログの読者を続けることに抵抗があったそうだ。
『君は恐らく、私を女性だと思っていただろう。本当は男で、しかも現実では上司の立場にある私が部下の秘密に触れるのは、常識的に問題がある。隠して騙しているようで辛かった。いつかバレる時が来たら、きっと君を傷つけることになるとわかっていて、どうしてもやめられなかった。私は本物の君をもっともっと知りたかったから』
長いコメントをスクロールする指が震える。
込み上げる涙で、部長の言葉が滲んでぼやける。
それでも、私ももっともっと部長の心を知りたくて、読み進めずにはいられない。
『このコメントを最後に、二度とブログを読まないと約束する。オフィスでも、必要以上に声をかけないと誓う。だからうさぎさん。どうかこのブログのまま、純粋で素直な君のまま、楽しく幸せな未来を切り拓いていってください』
「ふ、うっ……っ」
最後まで読み終えると同時に、堪えきれない涙が止めどなく溢れ出た。
頬を伝わず、ポタポタと直接スマホに落ちる。
私にとって『湯けむり旅情』さんは、カッコよくて強くて頼もしくて、密かに憧れていた人。
そして湯浅部長は、大きな優しさで包み込み、私が前に進めるよう、道を拓いてくれた温かい上司。
『二人』には感謝しかない。
なのに、謝ってほしくない。
私を傷つけたなんて、苦しまないでほしい。
だって私は、私はーー。
「湯浅、部長……」
その名を呼ぶだけで、胸が締めつけられる。
ちょっと息苦しいのにそれすらも嬉しくて、疼く胸の痛みが切なくて、そう感じられることが幸せだと思える。
経験がなさすぎてわからない。
でも、これを恋と呼ばずに、なんと呼べばいいのか。
私には、他の解答が見つからない。
私と話をしてもしかしてと思い、それが確信に変わってからは、隠れてブログの読者を続けることに抵抗があったそうだ。
『君は恐らく、私を女性だと思っていただろう。本当は男で、しかも現実では上司の立場にある私が部下の秘密に触れるのは、常識的に問題がある。隠して騙しているようで辛かった。いつかバレる時が来たら、きっと君を傷つけることになるとわかっていて、どうしてもやめられなかった。私は本物の君をもっともっと知りたかったから』
長いコメントをスクロールする指が震える。
込み上げる涙で、部長の言葉が滲んでぼやける。
それでも、私ももっともっと部長の心を知りたくて、読み進めずにはいられない。
『このコメントを最後に、二度とブログを読まないと約束する。オフィスでも、必要以上に声をかけないと誓う。だからうさぎさん。どうかこのブログのまま、純粋で素直な君のまま、楽しく幸せな未来を切り拓いていってください』
「ふ、うっ……っ」
最後まで読み終えると同時に、堪えきれない涙が止めどなく溢れ出た。
頬を伝わず、ポタポタと直接スマホに落ちる。
私にとって『湯けむり旅情』さんは、カッコよくて強くて頼もしくて、密かに憧れていた人。
そして湯浅部長は、大きな優しさで包み込み、私が前に進めるよう、道を拓いてくれた温かい上司。
『二人』には感謝しかない。
なのに、謝ってほしくない。
私を傷つけたなんて、苦しまないでほしい。
だって私は、私はーー。
「湯浅、部長……」
その名を呼ぶだけで、胸が締めつけられる。
ちょっと息苦しいのにそれすらも嬉しくて、疼く胸の痛みが切なくて、そう感じられることが幸せだと思える。
経験がなさすぎてわからない。
でも、これを恋と呼ばずに、なんと呼べばいいのか。
私には、他の解答が見つからない。