甘い生活  Casa al mare
「そんなに急いで就活しなくても、別に期限は設けてないんだから、いつまででも居てくれていいのに」

「嬉しいけど、そこまで甘えちゃっていいのかな⋯⋯」

今はよくても、清海さんに大切な人ができたら、もうここには居られない。

そんな日を想像して、つい俯いてしまう。

「甘えてくれていいんだよ、今よりもっと」

優しい声にそっと顔をあげる。

何故か、清海さんまで切なそうな顔をしていた。

「清海さん⋯⋯?」

「もう、いっそのこと永久就職してくれたらいいのに、とさえ思ってる」

「永久就職?定年がないってこと?」

無知だと思いつつ尋ねると、清海さんは苦笑いしていた。

「あはは⋯⋯流石に、もうとっくに死語だもんね、そんな言い方は」

「どういう雇用形態なの?」

そう尋ねると、清海さんは少し躊躇ったように、

「要するに⋯⋯このまま、僕のお嫁さんになってくれたらいいのにな⋯⋯ってことだよ」
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