甘い生活  Casa al mare
「無理してなんかいないわ。だって、今までになく元気だもの」

「そっか。やっぱり可愛い人魚姫にとって、落ち着く場所は、大都会じゃなくて、海ってことなんだろうね」

それもあるが、本当は、初めて恋を知った幸せも、大いにありそうだ。

しかし、何となく照れて言いにくい。

黙って清海さんの隣に腰掛けると、ぎゅうぎゅうにハグされる。

「清海さん⋯⋯く、くるしいよ⋯⋯」

「ああ、ごめんね」

少し力を緩めてくれたので、苦しくはなくなったが、こんな朝早くから⋯⋯。

ちょっと、ビックリした。

「清海さんって⋯⋯本当は甘えん坊なの?」

「そうかもね。昨日言った通りで、海香子ちゃんには思い切り甘えたいみたい」

世間の人々は、高丘清海画伯が、まさかこんな人とは想像もしないだろう⋯⋯なんだか、微笑ましい。

そして、清海さんは呆れるほど、何度もキスの嵐を浴びせてくる。
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