甘い生活  Casa al mare
清海さんと、朝っぱらからこんなにいちゃつくなんて、昨日までの私は、これっぽっちも考えもしなかった⋯⋯。

一瞬、雷のような光を感じて、空を見上げた。

「海香子ちゃん、どうしたの?」

そう尋ねられ、

「なんか今、空が光ったような⋯⋯」

「こんなに晴れてるのに?まぁ、でも日本海側だと、いつ崩れてもおかしくないからね」

「天気が崩れたら、絵に集中するんでしょう?」

「まぁね。サボってばかりいたら、海香子ちゃんに幻滅されそうだし」

いたずらな笑みを浮かべて清海さんは言う。

「幻滅はしないけど、世の中の絵心ある人たちは、清海さんの絵を心待ちにしてるから」

「さりげなく発破かけられたなぁ⋯⋯じゃあ、今日は集中しますか」

清海さんは思い切り伸びをすると、最後にもう一度軽くキスを残して、アトリエへ向かった。

いつも、無理しなくていいと言ってくれるけれど、私は無理など全くしていない。
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