悪女な私とは婚約破棄してください。なのに、冷徹社長の猛愛からは逃げられない
「うちは本社勤務の人間も時々は店舗に立つのが昔からの伝統なんです。やっぱりお客様の顔を見て、声を聞くって大切だと思うので」
「そのとおりだな」
だからその日、志桜は日本橋の店舗で接客を担当していた。季節は早春で、昼間でもまだ肌寒さを覚えるほどだった。
「男性のお客さまがいらして……」
夏はまだまだ先なのに、彼はサングラスをかけていた。それに加えて、小顔で信じられないくらい手足が長かった。おそらく、芸能人だったのじゃないかな?と思う。
KAMUROは老舗だから、業界を問わず贔屓にしてくれる著名人は結構多い。
「接客をしながら少しお喋りをさせてもらったんですよね。そのとき彼がしてくれた話がヒントになって」
「……なるほど」
彼はふっと唇の端をあげた。
「すごく素敵な方で……いつかもう一度会えたら、お礼をしたいです。でも、難しいだろうなぁ」
彼は『宝石にはあまり興味がない』と言っていたから、常連客になってくれているとは考えにくい。志桜がそう話すと、楓はどこか楽しげに目を細めた。
「いや、会えるんじゃないか? そのうちに」
含みのありそうな台詞が気にかかったけれど、結局その真意を確かめることはできなかった。
「そのとおりだな」
だからその日、志桜は日本橋の店舗で接客を担当していた。季節は早春で、昼間でもまだ肌寒さを覚えるほどだった。
「男性のお客さまがいらして……」
夏はまだまだ先なのに、彼はサングラスをかけていた。それに加えて、小顔で信じられないくらい手足が長かった。おそらく、芸能人だったのじゃないかな?と思う。
KAMUROは老舗だから、業界を問わず贔屓にしてくれる著名人は結構多い。
「接客をしながら少しお喋りをさせてもらったんですよね。そのとき彼がしてくれた話がヒントになって」
「……なるほど」
彼はふっと唇の端をあげた。
「すごく素敵な方で……いつかもう一度会えたら、お礼をしたいです。でも、難しいだろうなぁ」
彼は『宝石にはあまり興味がない』と言っていたから、常連客になってくれているとは考えにくい。志桜がそう話すと、楓はどこか楽しげに目を細めた。
「いや、会えるんじゃないか? そのうちに」
含みのありそうな台詞が気にかかったけれど、結局その真意を確かめることはできなかった。