悪女な私とは婚約破棄してください。なのに、冷徹社長の猛愛からは逃げられない
(一度しか会ったことのない相手への贈りもの、俺にはハードルが高すぎるな)

 そう思いながらも、彼女への誕生日プレゼントを探したのはどうしてだったのだろう。

 あの『おめでとうございます』がよほど嬉しかったのか、あるいは〝忘れてくれていい〟なんて大嘘で、本心では彼女に自分の存在を思い出させたかったのか。

「電話して、本人に欲しいもの聞いたほうが絶対いいですって!」
「趣味じゃないプレゼントは特大マイナスポイントですよ。つーか、普段ろくに連絡もしてこない男からの贈りものとか女の子からしたらホラーですよ、ホラー」

 カリフォルニアの明るい陽光の差し込むオフィスで。雄大はコーヒーを片手に、求めた覚えのないアドバイスを送ってよこす。

(面倒見がいいというべきか、お節介というべきか)

 だが、彼の意見は間違いなく正論で……楓には返す言葉もない。

「鷹井さんの頭脳は国宝級です。そこは認めますよ。でも恋愛スキルは絶対に僕のが上だと思うので、素直に言うこと聞いたほうが身のためです」
「……放っておけ」
「いやいや。うざがられる程度で済めばいいですけど、最悪ストーカー扱いされてもおかしくないですからね」

 必死に諭してこようとする彼から、楓はフイと顔をそむけて耳を塞いだ。
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