悪女な私とは婚約破棄してください。なのに、冷徹社長の猛愛からは逃げられない
「はい! あっ、あくまでも私自身の考えですけれど。宝石を資産としてお持ちになりたい場合には、選び方も変わってきますし」

 楓はふっと頬を緩め、答える。

「いや、いい選び方を教えてくれてありがとう」

 ここまで彼女に時間を使わせて、なにも買わないのは申し訳ない。

(明日は実家に寄る予定があるし、鷹井の母になにかプレゼントするか)

 志桜のアドバイスどおり直感を信じて、真珠のブローチを買った。彼女はパールが好きだったし、きっと似合うだろう。
 接客に続いて、会計も志桜が担当してくれた。

「ありがとうございました。お母さまが喜んでくださいますように」

 KAMUROのロゴが入った深紅の紙袋を手渡しながら、彼女はほほ笑む。

「近頃、買いものはオンラインショップばかりだったが、実店舗で接客を受けるのも悪くないな」

 楓がそう言うと、志桜は嬉しそうに目を細めた。

「光栄です。私どもは、対面での接客をとても大切にしておりますので」
「そうか。でも、セカンドラインのKマシェリはオンラインショップのみでは?」

 鷹井も協力したKAMUROの若年層向けブランドであるKマシェリは実店舗を持たず、オンラインショップのみで展開しているはずだ。

「Kマシェリを存じてくださっているのですね?」
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