悪女な私とは婚約破棄してください。なのに、冷徹社長の猛愛からは逃げられない
「今は顧客との距離が近いオンラインショップも数多くあるし、そのためにどこも色々な工夫している」

 鷹井家のビジネスはECショッピングから始まった。質問やクレームにどう対応していくのかといった顧客とのコミュニケーションの難しさ、そしてこの業界がそれをどう乗り越えていったか……父や兄から何度も聞いた話だ。

「ビジネスというのは、突きつめれば〝不可能を可能にすること〟だと俺は思う。できない、難しい、負の思考に囚われてしまわないよう気をつけて」

 大きく見開かれた志桜の瞳が、驚いたようにこちらを見つめている。頼まれてもいないのに偉そうなアドバイスをしてしまったと気づき、楓は目を伏せ、顔の下半分を手で覆った。

「――すまない。上から目線でなにを言っているんだろうな」

 いつだったか雄大に言われたとおり、自分は志桜にとって〝うざい〟だけの存在になっている気がして……情けなくなった。

「い、いえ! すごく、なんというか……感銘を受けました」

 けれど志桜は、頬を紅潮させてそんなふうに肯定してくれる。

「あぁ、本当にそのとおりですよね。私、勝手にオンラインショップの可能性を狭めていました。競合サイトをもっと研究して、色々な方法を考えてみます!」
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