悪女な私とは婚約破棄してください。なのに、冷徹社長の猛愛からは逃げられない
身に覚えのない写真が拡散され、さらには違法薬物使用の疑いまでかけられた散々な一日を振り返り、志桜は深いため息をついた。
時刻は夜七時半。食欲はなかったけれど、あり合わせのものをなんとか胃に流し込む食事を終え、自室に引きあげたところだ。
志桜はデスクの引き出しを開け、紺色の小さな箱を取り出す。二十五歳の誕生日に、楓が贈ってくれたプレゼントだ。大粒のアレキサンドライトのネックレスを身にまとい、鏡の前に立つ。
室内の照明のもとでは地中海を思わせる青碧色に輝いており、惹き込まれるような美しさだ。
(本当に素敵……。次のデートには、これをつけていきたかったな)
そして聞いてみたかった。どうして自分にアレキサンドライトを選んでくれたのかを。
「楓さんに電話をしよう」
愛奈がそれを狙っている以上、あの写真と噂を楓が知るのは時間の問題だろう。誰かの口から彼の耳に入るよりは、自分の口から伝えるほうがマシだ。
そう思いながらも、会社を出てすぐ、夕食の前。連絡をするタイミングはあったのに、なかなか決心がつかなかった。
理由は単純。この電話で、自分は彼に別れを告げなくてはいけないから――。
(浮気も薬物も無実だと、きちんと証明できるまで……私は彼のそばにいてはいけない)
時刻は夜七時半。食欲はなかったけれど、あり合わせのものをなんとか胃に流し込む食事を終え、自室に引きあげたところだ。
志桜はデスクの引き出しを開け、紺色の小さな箱を取り出す。二十五歳の誕生日に、楓が贈ってくれたプレゼントだ。大粒のアレキサンドライトのネックレスを身にまとい、鏡の前に立つ。
室内の照明のもとでは地中海を思わせる青碧色に輝いており、惹き込まれるような美しさだ。
(本当に素敵……。次のデートには、これをつけていきたかったな)
そして聞いてみたかった。どうして自分にアレキサンドライトを選んでくれたのかを。
「楓さんに電話をしよう」
愛奈がそれを狙っている以上、あの写真と噂を楓が知るのは時間の問題だろう。誰かの口から彼の耳に入るよりは、自分の口から伝えるほうがマシだ。
そう思いながらも、会社を出てすぐ、夕食の前。連絡をするタイミングはあったのに、なかなか決心がつかなかった。
理由は単純。この電話で、自分は彼に別れを告げなくてはいけないから――。
(浮気も薬物も無実だと、きちんと証明できるまで……私は彼のそばにいてはいけない)