悪女な私とは婚約破棄してください。なのに、冷徹社長の猛愛からは逃げられない
「楓さんはたしかに素敵な男性よね。でも」
愛奈がスッと志桜に身体を寄せると、耳元でささやくように言った。
「婚約者に愛してもらえないのって、悲しくなっちゃわない?」
志桜の顔がピクリとこわばり、固まる。
(あれ? どうして私、ショックを受けたみたいな反応をしているんだろう)
心に広がる波紋が自分でも不可解だった。だって、志桜自身も愛奈と同じように考えたから婚約破棄を望んだのだ。楓に愛されていない事実などとっくに知っているはずなのに。
「あぁ、ごめんね。志桜を傷つけるつもりじゃないのよ」
愛奈が慌ててフォローのように言葉を重ねた。
「けど、この前のパーティーは彼にとって半分お仕事の場だったみたいだし、好きな子を連れていく場所じゃないなぁって。そのうえ、あれ以降デートに誘ってもくれないんでしょう?」
彼女はなにを言いたいのだろう。志桜の顔に困惑の色が浮かぶ。
「そんなの、志桜がかわいそうで」
憐憫のにじむ声で愛奈は言い、志桜の頬に手を伸ばした。彼女の柔らかな手のひらが志桜の頬を包む。
「私は志桜が大好きだから。絶対に幸せになってほしいの」
天使かと見紛う清らかな笑み。
愛奈が自分を心配してくれているのはわかるのに、どうしてか「ありがとう」のひと言が出てこない。
愛奈がスッと志桜に身体を寄せると、耳元でささやくように言った。
「婚約者に愛してもらえないのって、悲しくなっちゃわない?」
志桜の顔がピクリとこわばり、固まる。
(あれ? どうして私、ショックを受けたみたいな反応をしているんだろう)
心に広がる波紋が自分でも不可解だった。だって、志桜自身も愛奈と同じように考えたから婚約破棄を望んだのだ。楓に愛されていない事実などとっくに知っているはずなのに。
「あぁ、ごめんね。志桜を傷つけるつもりじゃないのよ」
愛奈が慌ててフォローのように言葉を重ねた。
「けど、この前のパーティーは彼にとって半分お仕事の場だったみたいだし、好きな子を連れていく場所じゃないなぁって。そのうえ、あれ以降デートに誘ってもくれないんでしょう?」
彼女はなにを言いたいのだろう。志桜の顔に困惑の色が浮かぶ。
「そんなの、志桜がかわいそうで」
憐憫のにじむ声で愛奈は言い、志桜の頬に手を伸ばした。彼女の柔らかな手のひらが志桜の頬を包む。
「私は志桜が大好きだから。絶対に幸せになってほしいの」
天使かと見紛う清らかな笑み。
愛奈が自分を心配してくれているのはわかるのに、どうしてか「ありがとう」のひと言が出てこない。