悪女な私とは婚約破棄してください。なのに、冷徹社長の猛愛からは逃げられない
「楓さんとの関係、あらためて考え直してみたらどうかな? 正直、彼が志桜に対して義務感や同情以上の気持ちを抱いているようには思えないから。私、ほんとに心配で……」
「う、うん。そうね」
硬い声でそれだけ答えるのが精いっぱいだった。パッと愛奈の顔が輝く。
「よかった! 大丈夫。楓さんとなにかあっても、志桜ならきっと運命の人が見つかるから。ううん、なんなら私が見つけてあげる!」
さっきとは打って変わって声を弾ませる愛奈に、志桜は中途半端な笑顔を返すしかできなかった。
その日、最寄駅から自宅までの道のりを歩きながら志桜は愛奈に言われた言葉を反芻していた。冷静に振り返れば、愛奈の意見は率直で的を射ている。
志桜は大きくため息をついた。
(つまり、第三者である愛奈の目から見ても、私たちに幸せな未来があるようには思えないってことよね)
不幸になるとわかっている道にみすみす進む必要はない。志桜も、そして楓だって――。
冷淡なだけじゃない、優しい一面もある人なのだとわかった。だからこそ、彼にも幸せになってもらいたい。
(ちゃんと聞いてみよう。婚約破棄に応じない理由を)
考えてみれば、一番肝心なその部分をずっとはぐらかされている気がする。理由がわかれば、解決策だって見えてくるはず。
「う、うん。そうね」
硬い声でそれだけ答えるのが精いっぱいだった。パッと愛奈の顔が輝く。
「よかった! 大丈夫。楓さんとなにかあっても、志桜ならきっと運命の人が見つかるから。ううん、なんなら私が見つけてあげる!」
さっきとは打って変わって声を弾ませる愛奈に、志桜は中途半端な笑顔を返すしかできなかった。
その日、最寄駅から自宅までの道のりを歩きながら志桜は愛奈に言われた言葉を反芻していた。冷静に振り返れば、愛奈の意見は率直で的を射ている。
志桜は大きくため息をついた。
(つまり、第三者である愛奈の目から見ても、私たちに幸せな未来があるようには思えないってことよね)
不幸になるとわかっている道にみすみす進む必要はない。志桜も、そして楓だって――。
冷淡なだけじゃない、優しい一面もある人なのだとわかった。だからこそ、彼にも幸せになってもらいたい。
(ちゃんと聞いてみよう。婚約破棄に応じない理由を)
考えてみれば、一番肝心なその部分をずっとはぐらかされている気がする。理由がわかれば、解決策だって見えてくるはず。