悪女な私とは婚約破棄してください。なのに、冷徹社長の猛愛からは逃げられない
 愛奈の緩く波打つ栗色の髪と、シフォン素材のプリーツスカートの裾がふわりと揺れる。
 上品な甘さの香水も、胸元で輝く清楚な真珠のネックレスも、まるで彼女のためにあつらえたようによく似合っていた。
 そのキラキラした笑顔は、同じ女性でも思わず見惚れてしまうほど。

(あぁ、今日もヒロインオーラがまぶしいわ。血の繋がったイトコ同士なのに、どうしてこうも似ていないんだろう)

 志桜と愛奈は外見も性格も正反対。志桜の父の妹が愛奈の母。だから間違いなく血縁ではあるのだけれど……。ちなみに、愛奈の父、志桜にとっては義理の叔父がKAMUROの現社長だ。志桜の父が急死したあと、彼が後継になった。 

「あれ、企画部のみんなは?」

 フロアを見渡して、愛奈は小首をかしげる。

「少し前に、みんなお店に向かったわ」
「ひどい。志桜を置いていっちゃったの?」

 彼女は桃色に染まる頬をぷくりとかわいく膨らませた。志桜は首を横に振って答える。

「私がモタモタしていただけよ。作っていた企画書をキリのいいところまで書いてしまいたくて」
「そっか」

 愛奈はにこりと笑って、華奢な腕を絡めてきた。

「じゃあ、私と一緒に行こ!」
「うん」
「志桜はあんまり飲み会に参加しないから。久しぶりに一緒で嬉しいな」

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