悪女な私とは婚約破棄してください。なのに、冷徹社長の猛愛からは逃げられない
 ミラーをスマホのようにタッチするだけの簡単操作で、トータルコーディネートを提案してくれる。

「わぁ、近未来的ですね。でも私みたいに、ファッションセンスに自信のない人間にはありがたいかも」

 ファッションセンスに自信がない人間は生身のオシャレな店員さんと話をするのが苦手だったりするし、きっと需要があるだろう。なによりこれまでになかったエンタメ性が付加されてショッピングが楽しくなる。

「日本でもポップアップショップなんかで導入される事例が増えてきている」
「へぇ」
「君の企画は、ここにカップルの思い出という物語性を足すことになるから……」

 Kマシェリに当てはめて考えると、どういう課題が出てくるのか。ふたりで熱心に語り合い合いながら、いくつかの店を回った。

「はぁ。さすがに歩き疲れましたね」

 志桜が音をあげると、楓はカフェでひと休みしようと提案してくれた。入ったカフェも鷹井AIラボのクライアントらしく、AIバリスタなる看板ロボットが人気を集めていた。
 丸いフォルムの愛らしいロボットが四本の腕を駆使して丁寧にコーヒーを淹れている。
 志桜はふふっと口元をほころばせた。

「SF映画みたいで楽しいです。普段は紅茶派だけど、今日はコーヒーにしてみます」
「君は紅茶が好きなのか」
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