白い結婚にさよならを。死に戻った私はすべてを手に入れる。
 だったらそれを罪だと言って、やめさせるのもおかしな話。
 お互いにそれがよいのなら、どうすることも出来ないし。

 だから彼の罪を公にすることは、私からはない。
 だたこの男爵家から手を引いてくれさえすらばいいのだ。

「でもそうね。あなたのお小遣い口が減ったというのなら、ダントレットがいつかそっち方面で仕事を依頼する時は全てあなたへ頼むことにするわ」
「あんた……あの親父さん超えるかもね」

 そう言いながらヒューズは笑っていた。
 少なくとも嫌味ではなさそう。
 だけどあんな自己中な父を超えたいとはまったく思わない。

「あんなの超えたくもないわ。ヒトですらない生き物なんて」
「あははははは。いいね、アンリエッタだっけ。覚えておくよ」

 ヒューズは再び顔を布で隠すと、手を振りながら音もなく窓から出ていく。
 彼の背を見送りながら、やっと私は自分の体の力が抜けていくのを覚えた。
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