白い結婚にさよならを。死に戻った私はすべてを手に入れる。
「別に変な意味はないわ。名前呼ぶのに困るってだけで。教えたくないなら勝手にテキトーな名前つけるけど……。そうね、ゴンザレスとかどう?」
「ゴンザレスやめろ! さすがになんだよ、その意味不明な生き物は」
「モンスターとか?」
「オレは人だっつーの。まったく……ヒューズだ」
「あら、立派な名前があるじゃない」

 私がそういうと、満更でもないようにヒューズは鼻の頭をかいた。

「ダントレットは敵に回すもんじゃないな」

 ぽつりとヒューズはもらす。
 父はどうでもいいけど、こっちは敵に回してもらいたくはないわね。
 計画が止まってしまうもの。

「そうしてもらえるとありがたいわ。あなただって、沈む泥船なんて、興味はないでしょう?」
「泥船? ここが?」
「ええ。その予定よ」

 多くは説明できないけど、頭の良さそうなヒューズならなんとなく伝わるだろう。
 ここがいずれ沈み、没落するという意味を。

「あんたはそんな船に乗ってて大丈夫なのか?」
「私が沈ませる方だから問題ないわ」
「ああ……」

 ヒューズは鼻で笑うと、私が出したお茶を一気飲みした。

「どうせここも小銭稼ぎだからいいさ。他にはあんた、興味ないんだろ」
「ええ。他なんてどうでもいいの」
「ほらな。そういうとこがダントレットなのさ」

 犯罪といっても、彼がしているのは軽微な詐欺。
 しかも貴族のマダムたちに寄り添ってお小遣いをもらっている以上、詐欺になるかどうかも私には判断できない。

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