白い結婚にさよならを。死に戻った私はすべてを手に入れる。
 使える、ね。
 私のことをいつまでも道具だと勝手に思っておけばいいわ。

 気づかれぬように、拳に力を入れる。
 あそこから父を引きずり落とすのは、一番最後だから今は我慢よ。

「潰れる寸前の男爵家など、ただの足掛かりにすぎん。なんとしても公爵家の懐に入るんだな」
「はい」

 本当はそんな簡単なことではないけど、今はそう返事するしかない。
 ここではあくまで従順な娘を演じることが重要なのだから。

「一つお願いがあるんですが」
「なんだ」
「あの薬玉を少しいただいてもよろしいですか?」
「売るのか?」
「売れそうでしたら、そうしたいかと」

 あれは地下の灰色ネズミ用にうちが下請けに作らせている特注品だ。
 ここでしか手に入らないが、ここでしか需要もない。

 だから元より下請けにもかなり安く作らせている。

< 121 / 236 >

この作品をシェア

pagetop