白い結婚にさよならを。死に戻った私はすべてを手に入れる。
「ダミアン様は私と彼女のどちらを選ぶんです? 愛はなくとも、私の方が活用方法はありますわよね?」
「なんですって⁉」

 ダミアンの制止を振り切り、マリアンヌが私を押し倒す。
 そしてそのままの勢いで、馬乗りになり彼女は私の手首をつかむ。
 冷たい床に勢いよく転がり、その痛みが全身に広がった。

 だけどそんな痛みよりも、私の顔にぽたぽたと落ちるマリアンヌの涙が熱かった。

「や、やめないか、アンヌ。僕はもちろん君のことを誰よりも愛しているよ。妻なんて所詮お飾りにしかすぎない。その女は金でもらってやっただけだ」
「この先もずっとアタシだけ?」
「ああ、もちろんだ。ずっと君だけだよ」

 ダミアンはそう言いながら、私に馬乗りになったマリアンヌの手を取り、引きはがした。
 そして彼女を抱きしめながら、床に寝転ぶ私を見下す。

「君とはただの契約だ。身の丈に合わせて、それ以上のことは望むな」
「……」
「僕は彼女だけを愛している。それはこの先も変わりはしない。変な期待など抱かぬ方がいい」
「……わかりました」

 すべて言いたいことを言い切ると、まるでやり切ったと言わんばかりにダミアンは腹が立つほどすがすがしい顔をしていた。

 肩を抱き合った二人が玄関から出て行くまで、ただ私は古く埃をかぶる天井を一人眺めていた。
< 155 / 236 >

この作品をシェア

pagetop