白い結婚にさよならを。死に戻った私はすべてを手に入れる。
「ほら昔仕事で死にかけたことがあるから」
「あー。そんなこともありましたね。地下に置き去りにされて」

「そうそう。あの時だって大けがしてやっと脱出したというのに、医者なんて呼んでもらえなかったのよ」
「たしかに」

 父の仕事はいつだって命がけだった。
 でもたとえそれで命を落としたとしても、あの人にとっては使える手ごまが一つ減ったくらいにしか思わない。

 そんな認識だったのだけど。
 ダミアンの子を生むまでは~って感じなのかしら。
 それにしたって、薄ら寒いけど。

「とにかく私のためのお医者様なら、ここに通してちょうだい。待たせたら失礼にあたるわ」

 どう転んでも怖いなとは思いつつも、せっかく来てもらった人を帰すわけにも行かず侍女に部屋まで案内するように頼んだ。

 侍女はまた小走りで部屋を出て行くのを見て、ミーアが頭を抱えていたが。
 元より商会では侍女をしていたわけではないのだから、少しくらいは大目に見てあげないとね。

 しばらくすると、部屋に医師が通される。
 思っていたよりもずっと、いや、かなり立派な方だ。

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